かるあ学習帳

この学習帳は永遠に未完成です

ゲーム(18禁)

『SWAN SONG』トゥルーENDを再評価する。

18禁ノベルゲーム『SWAN SONG』には、2つの結末が用意されています。「教会END」と「トゥルーEND」です。教会ENDは悲劇的な結末を圧倒的な迫力で描いており、読み物としての評価が高いです。一方、トゥルーENDはささやかな生活芝居をあっさりした文章で紡い…

『SWAN SONG』教会ENDの考察

ノベルゲーム『SWAN SONG』には、「教会END」と「トゥルーEND」と呼ばれる2通りの結末が用意されています。今回は教会ENDを考察します。 『SWAN SONG』 シナリオ:瀬戸口廉也 原画:川原誠 (C)2005 SWAN SONG製作委員会 2005年7月29日発売 (ここから先には…

『SWAN SONG』考察~キャラ配置編~

今回から、18禁ノベルゲーム『SWAN SONG』を考察します。業界最高峰のシナリオライター・瀬戸口廉也の代表作であり、ゼロ年代ノベルゲームの金字塔である『SWAN SONG』。 『SWAN SONG』 シナリオ:瀬戸口廉也 原画:川原誠 (C)2005 SWAN SONG製作委員会 2005…

『フロレアール』考察~僕たちは独りじゃない~

『フロレアール~すきすきだいすき~』 シナリオ:元長柾木 原画:あんみつ草 (C)13cm 1999年7月発売 「独り遊び」の絶望 大昔の美少女ゲーム『フロレアール』の主人公・ジャンは、物語の終盤で絶望と孤独に満ちた独り言をつぶやきます。 「……神父をやってた…

『フロレアール』考察~「神」に挑んだ男~

『フロレアール~すきすきだいすき~』 シナリオ:元長柾木 原画:あんみつ草 (C)13cm 1999年7月発売 今回は、知る人ぞ知る美少女ゲーム『フロレアール』における「神」の存在について考察します。 「神」への挑戦 「僕とメルンがいるこの世界は、神によって…

『フロレアール』考察~フィクションの中で生きる~

私たちの身の周りにはフィクションが溢れている。本稿では、フィクションとは大雑把に虚構や創作物を指す。本屋に足を運べば、小説や漫画が多数販売されている。毎日夥しい数のドラマやアニメがテレビで放送され、インターネットで配信されている。フィクシ…

『フロレアール』考察~価値観は「言語ゲーム」だ~

大昔の美少女ゲーム『フロレアール~すきすきだいすき~』(以下『フロレアール』)の主人公・ジャンは、言語ゲームについて語っています。ジャンによれば、貨幣経済や民主主義や自然科学やカトリシズムのような価値観は全て「言語ゲーム」だという。 ……貨幣…

『フロレアール』考察~全体構造編~

今回から、知る人ぞ知る美少女ゲーム『フロレアール~すきすきだいすき~』(以下『フロレアール』)を考察します。『フロレアール』は1999年に発売された古代の美少女ゲームで、パッケージ版を現在入手するのは困難です。しかし、この作品はDMM GAMESを利用…

『沙耶の唄』病院ENDの考察

今回は、ニトロプラスのノベルゲーム『沙耶の唄』の「病院END」を考察します。『沙耶の唄』には3種類の結末がありますが、私は「病院END」が一番好きですね。補説として、小説版『沙耶の唄』の考察も添えます。 『沙耶の唄』 シナリオ:虚淵玄 原画:中央東…

『沙耶の唄』開花ENDの考察

今回は、ニトロプラスのノベルゲーム『沙耶の唄』の「開花END」を考察します。 『沙耶の唄』 シナリオ:虚淵玄 原画:中央東口 (C)ニトロプラス 2003年12月26日発売 (ここから先には、「開花END」のネタバレが含まれています)

『沙耶の唄』耕司ENDの考察

ニトロプラスのノベルゲーム『沙耶の唄』には、「開花END」「耕司END」「病院END」と呼ばれる3つの結末が用意されています。今回は、「耕司END」を考察します。 『沙耶の唄』 シナリオ:虚淵玄 原画:中央東口 (C)ニトロプラス 2003年12月26日発売 耕司の人…

『沙耶の唄』の考察~全体構造編~

今回から、虚淵玄さんがシナリオを担当した美少女ゲーム『沙耶の唄』を考察します。虚淵さんは、2010年代前半のアニメ史上で非常に素晴らしい仕事をした脚本家ですよね。『魔法少女まどか☆マギカ』『PSYCHO-PASS』など、アニメ界を席巻する名作を続々生み出…

『青い空のカミュ』批評・感想・考察まとめ~青カミュ研究序説~

私は今年の2月から、美少女ゲーム『青い空のカミュ』と「不条理」をテーマにした記事をこのブログに書いてきました。今回は、その一連の記事のまとめです。ついでに読書案内も載せておきました。我ながらたくさん記事を書いたなと思いますが、私の実力不足の…

『青い空のカミュ』「銀河鉄道の夜」「よだかの星」批評~不条理の反転光学~

今回は、『青い空のカミュ』批評の最終回です。「私たちにとっては不条理で意味不明な出来事も、私たちよりも高次元な何かにとっては意味のある出来事なのかもしれない」というお話をさせていただきます。『青い空のカミュ』の作中で言及された「銀河鉄道の…

『青い空のカミュ』批評~「綺麗なもの」と「傷だらけなもの」は両立する~

今回は、『青い空のカミュ』製品版の結末を考察します。『青い空のカミュ』の考察は、おそらく次回で最後になると思います。皆さん、よければもう少しだけおつきあいくださいw 結論から先に言うと、「人の心は傷だらけになっても純粋を保つことができる」と…

「よだかの星」と『青い空のカミュ』を読む~物語の必然性について~

今回は、『青い空のカミュ』のシナリオを読んで私が共感できなかった点を書いてみます。けっこう批判的なことを書いたので、返ってくる反響がちょっと怖いです(苦笑)。シナリオを自分なりにしっかりと読んで思いついたことなので、頭ごなしの批判にはなっ…

『青い空のカミュ』感想~プレイ時間とか読み心地とかについて語る~

今回は、3月29日に発売された美少女ゲーム『青い空のカミュ』をプレイした感想をネタバレなしで書きます。これからこのゲームの購入を検討される方のために、購入の判断材料になりそうな情報を多めに書いてみようと思います。シナリオの詳しい考察は来週以降…

【考察】エロゲーの主人公にはなぜ「目」がないのか?

今回は、エロゲーの主人公にはなぜ「目」がないのかを考察しますw いや、目がないと言いきってしまうのはよくないかもしれませんね。 作品によっては、主人公にちゃんと目がある作品もありますからね。 それにしても、エロゲーの主人公は、エロくないゲーム…

『青い空のカミュ』体験版と『ペスト』を読む~他人を大切にし続けるのは難しい~

今回は、『青い空のカミュ』体験版とカミュの小説『ペスト』の関係を考察します。『青い空のカミュ』体験版と『ペスト』を未読の方にもお分かりいただけるように書いたつもりですので、何かの参考になれば幸いですw 『青い空のカミュ』体験版 シナリオ・原画…

『青い空のカミュ』体験版レビュー~世界は優しく無関心なのだろうか?~

今回は、3月29日に発売予定の18禁美少女ゲーム(芸術性が高くてエロ重視じゃない作品だったから、特にこの作品は個人的にエロゲーと呼びたくない)『青い空のカミュ』体験版のレビューをします。『青い空のカミュ』体験版とアルベール・カミュの小説の関係を…

ゲーム版/小説版『沙耶の唄』の考察

『沙耶の唄』 シナリオ:虚淵玄 原画:中央東口 (C)ニトロプラス 2003年12月26日発売 (この記事にはゲーム版/小説版『沙耶の唄』の重大なネタバレが含まれています)

【エロゲー】『いたずラブ』批評~私立さくらんぼ小学校論・後編~

今回私が批評する作品は、私立さくらんぼ小学校の『いたずラブ』である。私立さくらんぼ小学校のライター・苦魔鬼轟丸は、非常に作家性の強い書き手である。前回の「前編」と併せて、苦魔鬼轟丸の豊穣な作家性が少しでも皆様に伝われば幸いである。 『いたず…

【エロゲー】『少女と世界とお菓子の剣~Route of ICHIGO 1~』批評~私立さくらんぼ小学校論・前編~

今回は、私が今までにプレイしたエロゲーの中で個人的に一番面白かった作品である『少女と世界とお菓子の剣~Route of ICHIGO 1~』の批評を試みる。 『少女と世界とお菓子の剣~Route of ICHIGO 1~』 シナリオ:苦魔鬼轟丸 原画:みそおでん (C)私立さくら…