かるあ学習帳

この学習帳は永遠に未完成です

管理社会と『ZETMAN』~良い出会いは人を幸せにする~

桂正和の超力作漫画『ZETMAN』は、未完の作品である。現時点では単行本が20巻まで刊行されていて、2014年に出た第20巻は「第一幕の最終巻」という位置付けである。第一幕は多くの問題を解決しないまま終幕しているのだが、第二幕が始まる気配が全くと言って…

皆さま、明けましておめでとうございます。

皆さま、明けましておめでとうございます。 今朝、私の近況を当ブログで具体的に公表したところ、気分を害されたお客様が多かったので、他者危害を考慮して自己の近況を報告するのはやめておきます。 それゆえ、今朝の近況報告は撤回しました。 撤回せずに放…

史上最悪のパワハラ上司が帰ってくるので、ブログの更新を当分の間停止します。

皆さん、ごきげんよう。 今日は皆さんに、誠に残念なお知らせがあります。 私の職場には、去年の前半まで凶悪なパワハラ上司が勤務していました。 その上司はあり得んくらい性格が悪く、奴は着任した当日からなぜか私を敵視していました。 私の現場で私を露…

経済格差と『ZETMAN』~ホームレスのヒーローと超富裕層のヒーロー~

みんなー、『ZETMAN』っていう漫画を知ってるかい??? 『ZETMAN』は、絵がクッソ上手いことに定評がある漫画家・桂正和による変身ヒーロー漫画である。この漫画は累計400万部以上売れたらしい。さらにこの漫画は2012年にあまり話題にならなかったけどテレ…

劇場版仮面ライダービルド暗黒啓蒙~民主主義と平等主義による「天才いじめ」を告発せよ!~

「民主主義」と「平等主義」という言葉には、多くの人々の間で未だにかなり良いイメージが持たれている……気がする。 しかし、果たして民主主義と平等主義は、人々を本当に幸せにする考え方なのだろうか?本稿では『劇場版仮面ライダービルドBe The One』(以…

『ルリドラゴン』のココがスゲェ。

最近、ヲタクの間で『ルリドラゴン』とかいう漫画が話題になっているっぽい。 私の感触では、この漫画の内容よりも、この漫画がいきなり無期限休載になったことが大きな話題を呼んでいると思う。『ルリドラゴン』は今年の6月に週刊少年ジャンプで連載が開始…

TV版エヴァ最終話考察~「他人に好かれることに慣れる」という発想~

TV版『新世紀エヴァンゲリオン』最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」を、私は久し振りに再視聴しました。この最終話は「主人公・シンジの心を癒やすための対話が怪しい自己啓発セミナーみたいで不快だ」「作画のクオリティが悪く、制作現場の苦しまぎ…

『異世界おじさん』とサンプリングされたセガの亡霊たち

今、『異世界おじさん』とかいうアニメが毎週放送されている。『異世界おじさん』は多数派のトレンドを逆手に取るようなアクロバティックな面白さがあるアニメで、続きが気になる作品である。 『異世界おじさん』の主人公「おじさん」は、17歳~34歳までの17…

親知らずを摘出され、ついでに人形の眼球も交換した男。

私は今月の18日、親知らずの摘出手術を受けました。 行き付けの歯医者に行ったら、右顎の面倒な位置から変な方向に親知らずが生えていることが判明したんですな。 「カルアさんはまだお若いですから、こういう面倒な親知らずは早いうちに取ったほうがいいで…

大江健三郎『洪水はわが魂に及び』考察:急~不条理と抵抗と最後の挨拶~

この世界は不条理であり、この世界の不条理を直視できない者は不条理から逃げている。われわれは不条理な運命を見つめ、引き受けなければならない。そして不条理と戦うことを諦めず、暗夜を生き抜かなければならない。人生が無意味で不条理でも、その中で諦…

大江健三郎『洪水はわが魂に及び』考察:破~DQNと縮む男と全集中の祈り~

youtu.be 大江健三郎はノーベル文学賞受賞者であり、日本文学の最高峰に位置する小説家である。彼の大作長編『洪水はわが魂に及び』は、人類には早すぎた想像力で描かれた物語である。この小説は1973年に発行された作品なのに、ここ最近の令和の世相すら予言…

大江健三郎『洪水はわが魂に及び』考察:序~核と洪水と世界の終わり~

大江健三郎は日本で2人目のノーベル文学賞受賞者である。大江さんは大作小説『洪水はわが魂に及び』を執筆し、野間文芸賞を受賞した。しかしこの『洪水はわが魂に及び』、ちょっと手に入りにくい本なのである。それでもこの小説には名作の予感が漂っていたの…

「史上最悪のトゲピー!」考察~カオスからコスモスへの加速~

youtu.be 2009年9月10日に放送されたテレビアニメ版ポケモン「史上最悪のトゲピー!」は、伝説的な「カオス回」としてヲタクの間で知られている。この回には他者を罠に陥れることを楽しむトゲピーとかいうポケモンが登場し、史上最悪のトゲピーの悪意に善人…

加速主義SFとしての『劇場版仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE』

最初に言っておく。『劇場版仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE』(以下、劇場版カブト)は、人類には早すぎた加速主義SF映画だと私は思っている。劇場版カブトでは、TV版と同様に、仮面ライダーが加速装置「クロックアップシステム」を用いた戦闘を行う。さ…

『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』が描いた「地上波では放送できない純愛」の構造

『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』は『仮面ライダー龍騎』の後日談で、『龍騎』本編から17年後の2019年での殺し合いを描いた作品である。この『RIDER TIME 龍騎』は地上波では放送されず、ビデオパスでネット配信された。脚本を担当した井上敏樹さんは「地上…

『仮面ライダーセイバー』最終章考察~物語の結末は、視聴者も決める!~

『仮面ライダーセイバー』は特撮ヲタクの間で評判が悪い作品だけど、最終章がとても面白かった。この最終章は、私が観てきた仮面ライダーシリーズの最終回の中で5本の指に入る名作だと思っている。ちなみに私は『シン・エヴァンゲリオン』と『SSSS.DYNAZENON…

『仮面ライダーセイバー』第46章が語る芸術作品の根源

『仮面ライダーセイバー』(以下『セイバー』)は、特撮ヲタクの間で非常に評判が悪い作品である。この作品には10人以上の仮面ライダーが登場するのだが、明らかに無駄なライダーが多い。しかも現代・15年前・2000年前の出来事が複雑に絡み合う脚本が不親切…

ブログマスコットキャラクター・はわわちゃん誕生っっっ!!

今回は前回の続きで、アニメ系ドールの世界を取材した結果を報告します。 生々しい話をすると、前回の記事は何となくモヤモヤした結果に終わりました。 アニメ系ドールはヲタクや女児にとって親しみが沸きやすそうな外見をしているので、皆さんの多くにも楽…

アニメチック人形の世界を探索する男。

私は今年の初めに、人形(命名:無為美ちゃん)を買いました。 無為美ちゃんは通称「リアル系ドール」と呼ばれる種族でして、顔の造形がかなり生身の人間に寄せて作られています。 私は中学生の頃から専らリアル系ドールに興味があり、人形はリアル系しかチ…

『美少女万華鏡』シリーズ全体の総括と考察みたいなもの

『美少女万華鏡』シリーズ(全5話)は、2011年に第1話が発売されて2020年に完結した。このシリーズは、テン年代の約10年間を駆け抜けた作品群である。『美少女万華鏡』シリーズには、もちろんテン年代的な感性が多分に投影されている。今回は『美少女万華鏡…

「でんげきたいけつ!クチバジム」批評~アメリカ的マチズモVSニホン的カワイイ~

youtu.be 初代アニメ版ポケモン第14話「でんげきたいけつ!クチバジム」は、ポケモンを考察する上で非常に重要な回である。なぜならこの回では、主人公サトシの相棒・ピカチュウが進化しない理由が説明されているからだ。さらに私が視聴したところ、この回で…

『終末のワルキューレ』と令和の世相~終末の未来とサンプリングされる過去~

youtu.be 『終末のワルキューレ』とかいう漫画を、最新の15巻まで読み終わった。この漫画は脳筋気味なバトルとかなり単純なストーリー展開が特徴的な作品で、知的な人に小馬鹿にされる恐れがある内容だと思った。しかし私は、この漫画はある意味で「令和の世…

死んだおばーちゃんと人形の完成された美しさを語る男。

死体と人形には完成された美しさがあるよねっていう話 今年の4月、私のおばーちゃんが死にました。

教養としての『ワリオランド1~3』~記号だけの快楽~

ニンテンドー3DSのダウンロード販売(バーチャルコンソール)でワリオランドシリーズを遊んでみたら面白かったので、今回はその感想を書きます。 『スーパーマリオランド3 ワリオランド』 ワリオランドシリーズは、スーパーマリオシリーズの派生作品として誕…

諏訪哲史『アサッテの人』メタ意識の節度を考えるための書評

諏訪哲史の『アサッテの人』は、村上龍の『限りなく透明に近いブルー』以来31年ぶりに群像新人文学賞と芥川賞をダブル受賞した小説である。しかし私が読んだ限り、『アサッテの人』は『限りなく透明に近いブルー』とは多くの点で対照的な作品だと感じた。『…

村上龍『限りなく透明に近いブルー』考察という営みを批判する考察

今回は、村上龍のデビュー作『限りなく透明に近いブルー』を考察する。本稿は単なる考察ではなく、「考察という営みを批判する考察」である。『限りなく透明に近いブルー』は主人公・リュウの「観察」に基づく小説であり、露骨に考えさせられるようなメッセ…

『ONE~輝く季節へ~』感想や考察みたいなもの

『ONE~輝く季節へ~』は、初期の麻枝准と久弥直樹が脚本を担当した恋愛ゲームです。麻枝さんは後に『CLANNAD』『リトルバスターズ!』などの超話題作を創造したヒットメーカーとして名を馳せ、現在も精力的に活動なさっています。久弥さんも別名義でウルトラ…

三島由紀夫『午後の曳航』あらすじや解説みたいなもの

文豪・三島由紀夫は、三十三歳で結婚した。しかし三島の面白いところは、結婚しても小説の作風が丸くならず、相変わらず「攻めた」活動を続けたところである。『不道徳教育講座』という不謹慎な本を書いたり、映画の主演をしたり、『宴のあと』という小説を…

後期ハイデガーのサルトル批判~存在神秘は「実存は本質に先立つ」よりも先立つ~

一昔前に流行ったサルトルとかいう哲学者は、実存主義者でした。サルトルの実存主義では、人間の本質は生まれつき決定されておらず、私たちは自分で自分を「作る」ことができるとされています。 ジャン=ポール・サルトル(1905~1980) というのは、もし私ども…

物語に「ストーリー性」は絶対必要なのだろうか?

note.com note.com 物語に「ストーリー性」は絶対必要なのだろうか。本稿で言うストーリー性とは、物語の構成や筋書きのような「骨組み」のことだと思って欲しい。例えばドストエフスキーやトーマス・マン、宮沢賢治の代表作には数理的なまでに計算された構…