かるあ学習帳

この学習帳は永遠に未完成です

資本主義化する仮面ライダー

〈2022/01/08編注〉
この記事の『資本論』の解説は間違っていると思います。特に「使用価値」と「価値」の解説がヤバいと思います。しかし、このブログは私の学習の足跡という側面がありますので、間違った箇所をそのまま残します。この記事の『資本論』の解説は、間違っていることを前提に話半分に読んで下さい。
 
自分のブログだから率直な感想を言わせてくれ。
 

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ここ2,3年のTV版仮面ライダーの脚本はつまらないと私は思っている。私の観察では「ジオウ」以降の仮面ライダーが、観ていて苦痛を覚える。毎週日曜日に放送されている仮面ライダーセイバーがつまらなくて観るのをやめたいと内心思っているのだが、有望そうな新人俳優をチェックするために私は我慢して視聴を継続している。ネットの評判を見た限り、セイバーはつまらないと思っているのは私だけではないようだ。

2018年から放送された仮面ライダージオウは、歴代の平成仮面ライダーをしっかり観た「経験」と、複雑な脚本を理解する「才能」が異常に要求される作品だった。2019年から放送された仮面ライダーゼロワンは、第16話までは普通に面白かった。しかし悪名高い「お仕事五番勝負」が始まってから、話が急激につまらなくなってしまった。現在放送中の仮面ライダーセイバーは、余計な登場人物や変身アイテムが多すぎて、物語の足を引っ張っている。

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仮面ライダーセイバー
仮面ライダーがつまらないとき、特撮界隈で噴出しがちなのは「脚本家が悪い」「プロデューサーが悪い」という意見である。仮面ライダーがつまらないのは、つまらない脚本を書いた脚本家が悪い。仮面ライダーがつまらないのは、ヘボな企画を立てたプロデューサーが悪い。確かに、その説は否定できないかもしれない。しかし、脚本家やプロデューサーが悪いとは、私にはそれほど思えない。
 
最近の仮面ライダーがつまらないのは、資本主義が悪いからだ。仮面ライダーがつまらなくなっている理由は色々あると思うが、特に資本主義が悪いんだよ。
 

作品とCMの融合

NHKEテレの「100分de名著」で、斎藤幸平氏マルクスの『資本論』の話をしていた。資本主義社会では、「人々の生活に本当に必要なモノ」よりも「売れそうなモノ」が重視されるという。マルクスによれば、商品には「使用価値」と「価値」がある。
 

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使用価値」……人間にとって役に立つこと(有用性)、人間の様々な欲求を満たす力
価値」……貨幣によって価格として表される、商品を交換できる力
 
例えば水は水分を補給するのに役に立ち、マスクは病気の拡大を予防するのに役に立つ。水やマスクは人間の役に立つので、「使用価値」があると言えるだろう。一方、仮面ライダーの変身ベルトや武器の玩具は、水やマスクほど人間の生活に有用だとは思えない(暇潰しの遊びには役に立つかもしれないが)。子供やヲタク以外の目線からすれば仮面ライダーの玩具は「使用価値」が低そうな商品だと思えるが、金銭的な価格はそこら辺の飲料水よりも高い商品が多い。大人のお友達向けの変身ベルトが、3万円ぐらいで売られていたりする。
 

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高額な大人用変身ベルト
仮面ライダーの玩具は、価格を高めに設定しても、売れるものは売れる。なぜなのか。おそらく、仮面ライダーというテレビ番組が、視聴者の価値観を操作しているからだ。
 
仮面ライダー』というテレビ番組では、出演する俳優が変身ベルトを使って変身したり、仮面ライダーが武器やアイテムを使って戦う。『仮面ライダーというテレビ番組を見ていると、「あの俳優が使ったのと同じ変身ベルトが欲しい」「あのライダーのフィギュアが欲しい」「あのライダーが必殺技に使った武器が欲しい」と思えてくる。仮面ライダー』というテレビ番組は、玩具の価格や購買意欲を増やすための、一種のCMになっているわけだ。仮面ライダーというテレビ番組では、ドラマ作品とCMが分かち難く融合していると言っていい。
 
今放送されている仮面ライダーセイバーには、10人以上の仮面ライダーが登場する予定らしい。そして、仮面ライダーを強化するためのワンダーライドブックとかいう本が、不必要なほどたくさん出てくる。セイバーの登場人物と強化アイテムは、無駄に多い。無駄な登場人物やアイテムを減らしたら、脚本の自由度や完成度は上がるだろう。しかし、登場人物を増やしたらフィギュアがたくさん売れそうだし、アイテムを増やしたら関連商品もたくさん売れる見込みがある。グッズの需要や価格をブーストするために、ドラマ作品の出来を犠牲にしてもいいから販促に力を入れる戦略なのだろう。
 

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出典:Wikipediaより抜粋

マルクスによれば、資本とは絶えず価値を増やしながら自己増殖していく運動である。商品の実用性はさておき、売れて儲けが出ればいい。金儲けがやめられなくて、儲けがどんどん増えていく。2017年の仮面ライダーの売り上げは248億円だったが、2018年の売り上げは273億円だ。2019年の売り上げは285億円だったから、これからは300億円を目指そう。仮面ライダーというコンテンツではドラマ作品とCMが融合しているのだが、CMの方だけが奇形に肥大化していく。
 

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金儲けがやめられず、販売を促進する資本主義の論理に、ドラマ作品としての仮面ライダーは負けている。もしも最近の仮面ライダーがつまらないとしたら、資本主義が悪いんだよ。
 

資本主義の終わりか、仮面ライダーの終わりか?

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資本主義の論理に従う馬車馬のように走らされている仮面ライダーだが、最近は玩具の売り上げも悪くなってきているという説がある。仮面ライダーセイバーの玩具が、安値で投げ売りされている店舗が増えてきているようだ。作り手がいくら販促しても脚本がつまらないので、いよいよ顧客たちに愛想を尽かされ始めたのかもしれない。
 
脚本が終わっているだけでなく販促も終わっているのならば、仮面ライダーというコンテンツの未来は暗いだろう。「資本主義の終わりより、世界の終わりを想像する方がたやすい」という有名な警句がある。*1このまま資本主義は続き、仮面ライダーは脚本も販促も駄目になっていくのだろうか。だったらこう言おう。「資本主義の終わりより、仮面ライダーの終わりを想像する方がたやすい」と。

*1:仲山ひふみによれば、この警句はもともとフレドリック・ジェイムソンが発したものらしいのだが、必ずしもそうとは言いきれないようだ……