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ファイアーエムブレム『新暗黒竜』から『エコーズ』までの歴史を語る

私はニンテンドースイッチを持っていない。だから私はファイアーエムブレム『風花雪月』をプレイした事が無い。私は未だにニンテンドー3DSを乱用している。ファイアーエムブレム(以下FE)をプレイするのが楽しく、『新暗黒竜』『新紋章』『覚醒』『白夜/暗夜』『エコーズ』は全部プレイ済みだ。今回は『新暗黒竜』から『エコーズ』までのFEの歴史を振り返ってみたい。なお、すまんがダウンロードコンテンツである『透魔王国』は振り返りの対象外とする。

 

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『新暗黒竜』は、FEシリーズ第1作『暗黒竜と光の剣のリメイク版である。主人公はスマブラでもお馴染みのマルスである。マルスがドルーア帝国と地竜王メディウスを討伐した「暗黒戦争」の様子が描かれている。ストーリーが王道であり、赤と緑の騎士やキルソード持ちの剣士のようなテンプレキャラが登場するので、この作品をプレイすれば「FEってこういうゲームなんだ」というイメージが大体掴めると思う。
 
『新暗黒竜』では、一度死んだ仲間は基本的に二度と生き返らない。死んだ仲間が復活する「カジュアルモード」は、このソフトには搭載されていない。1990年にファミコン用ソフトとして発売された『暗黒竜と光の剣』は、死んだ仲間が復活しないシビアなゲームシステムで世間に衝撃を与えた。『新暗黒竜』は、リメイク前のシビアさを(死んだ仲間が復活しない以外の要素も含めて)忠実に継承している。『新紋章』以降のソフトを全てカジュアルモードでプレイしたエンジョイ勢の私は、『新暗黒竜をプレイしていると原初的な緊張感に回帰した気分になる。
 
また、『新暗黒竜』には「支援会話」や「救出」が無い。仲間同士が仲良くなってチート級に強くなったり、死にそうな仲間を他の仲間が救助したり、とか言った事ができないのだ。しかし、このゲームはとてもバランスが良く、私は「闘技場」を全く利用せずにクリアできた(難易度はノーマルだけど)。シンプルで、尚且つ良く練られた『新暗黒竜のゲームバランスに感動した。
 
最後に一つ苦言を呈すると、キャラクターの顔グラフィックがブサイクだよなあと思う。FEには美男美女や個性的なキャラクターが登場するキャラゲーしての側面があるのだが、『新暗黒竜マルスを含めた登場人物の顔立ちがイマイチ美しくない。そこが残念だった。
 
2010年『ファイアーエムブレム 新・紋章の謎~光と影の英雄~』(DS)

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『新紋章』は、『新暗黒竜』の正統な続編である。『新暗黒竜で描かれた暗黒戦争に続く「英雄戦争」を描いた作品である。主人公は相変わらずマルスで、アベルシーダのような前作の登場人物が続々登場する。前作では善良な人物だったハーディンが魔王のように闇落ちしたのは面白かった。ハーディンやカミュのように時を経て豹変した人物がもっと沢山出てきたらより面白かったかもしれない。マルスシーダのような一部のキャラの顔グラフィックが、前作よりも美形に描き直されていたのは好印象。
 
『新紋章』では、新システムとして「マイユニットが実装されている。プレイヤーが自分の分身であるマイユニットの外見や名前や職種などを決めて、そのマイユニットマルスを影で支えるのである。このゲームには「光と影の英雄」というサブタイトルが付いているのだが、歴史の表舞台に出る「光の英雄」がマルスで、歴史を影で支える「影の英雄」マイユニットという訳だ。ちなみにマイユニットは戦闘力が非常に高く、影にしてはでしゃばり過ぎである。
 
さらに『新紋章』には、「カジュアルモード」が初めて実装された。カジュアルモードを選択すると、戦闘でHPが0になった仲間が次のステージで復活する。HPが0になった仲間が復活しないのは長年FE名物だったのだが、『新紋章』はその伝統に風穴を開けたのである。死んだ仲間が復活するFE」というのは、実に革新的な展開だったと言えるだろう。
 
他にも「新・アカネイア戦記」や「みんなの様子」などの新システムが導入された。マイユニット」「カジュアルモード」「みんなの様子」は次回作『覚醒』に受け継がれて、『覚醒』の成功の一因になった感がある。
 
『新紋章』は、『新暗黒竜よりも難易度が爆上げされていて恐ろしく難しかった。強力な飛竜や火竜が襲いかかってくる中盤が特にハードで、ちょっとした油断ですぐに死者が出た。味方の配置を1マス間違えただけで自軍が壊滅しかねないので、高度に慎重なプレイングが要求されるゲームだった。しかし、攻略が難しいぶんだけ『新紋章』をプレイしていると「FE力」が付いてくる。ファンの間で難しいと評判の『暗夜王国』は、『新紋章』を事前にプレイしたおかげで、私はとても楽しくプレイすることができた。
 

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FEシリーズは、この『覚醒』の登場によって一皮剥けたなと思う。キャラクターデザインを人気イラストレーターのコザキユースケが担当しており、登場人物の外見や顔グラフィックが飛躍的に垢抜けた。また、杉田智和や小野Dのような人気声優のCVが追加され、ゲームが賑やかに盛り上がっている。さらに、2011年の震災を機に流行した「絆」が作品のテーマになっている。売れ筋を狙っていると言うのは嫌な言い方だが、『覚醒』は売れ筋を狙いまくった結果とても楽しいゲームに仕上がった。そして売れに売れた。
 
『覚醒』では、「絆」というテーマがシナリオだけでなくシステムの面でも追求されている。良くも悪くも『覚醒』を象徴するシステムは「ダブル」である。2人のキャラでタッグを組むと戦闘力が向上し、連続攻撃やノーダメージ防御が可能になる。支援会話が成立する2人組を気兼ね無くダブルして、仲間同士の絆を深めていくと雑魚を笑えるくらい楽に倒せるようになる。ダブルをすることには基本的にペナルティが無いし、制作サイドがプレイヤーにカップリングを楽しむことを推奨しているとすら思える。
 
また、異性同士の仲間を結婚させると子供が誕生する場合がある。子供達は戦闘力が高いキャラが多く、みんなやり過ぎな程個性的な面々である。特に中二病を患っているウードという剣士はどうかしている男で、シリーズ屈指の人気キャラである。仲間同士の絆、異性同士の絆、親子の絆など、『覚醒』はとにかく絆を売りにしているので、郷に入ったら郷に従えの精神でとにかく絆を深めながら戦っていくことを意識すると良い。
 
『覚醒』はキャラクターデザインが優秀なキャラゲーのような側面があるし、ダブルを使えばハードモードでも無双できる。そのため『覚醒』は、戦略を立てるのが苦手な脳筋ゲーマーでも気軽に楽しめるだろう。逆に、性格が真面目で戦略をじっくり考えるのが好きなプレイヤーは、『覚醒』をプレイして「ふざけるな!」と思うかもしれない。覚醒』はダブルが強力過ぎるので戦略シミュレーションとしてどうかなという点があるのだが、世の中には頭を疲労させずに無双を楽しみたい層が存在する。そういう層はけっこう厚いだろうし、『覚醒』はそういう層の期待に応えてくれる。
 

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if『白夜王国』と『暗夜王国』は同時に発売されたのだが、両者はシナリオやコンセプトが大きく異なっている。白夜王国は経験値や資金を理論上無限に稼ぐことができる一方、『暗夜王国』は得られる経験値や資金が有限である。気取った言い方をすると「無限の白夜、有限の暗夜」と言った所である。暗夜王国は有限な資源で何とかクリアできるように絶妙なゲームデザイン施されており、ゲームとしての完成度が非常に高いと思った。
 
『if』には、「攻陣/防陣」という特徴的なシステムが存在する。「攻陣」は隣接する仲間と協力して攻撃ができるシステム。「防陣」は仲間の戦闘力を上げ、たまに仲間をダメージから守れるシステム。前作の「ダブル」が攻防一体の強力過ぎるシステムだったため、ダブルが「攻」と「防」に分けられたのだろう。その結果、『if』は高度に複雑化した戦略が要求されるゲームになっている。厄介なことに、味方だけでなく敵も「攻陣/防陣」を使ってくる。『if』の盤面を掌握しきるのは、ゲーム界の藤井聡太のような頭脳が無ければ無理ではないだろうか
 
私が『if』をプレイしていて印象的だったのは、主人公・カムイの境遇が逆転裁判シリーズの御剣怜侍に似ている所である。カムイは白夜王国で生まれた王族だったのだが、暗夜王ガロンによって父親を殺害される。カムイはガロンに誘拐され、暗夜王国で育てられることになる。御剣は弁護士である信の息子として生まれたのだが、検事である狩魔豪によって父親を殺害される。そして御剣は、狩魔家で検事として育てられることになる。このようにカムイと御剣は「敵勢力に父親を殺害され、敵勢力の家系に育てられた」という点で共通しているのだ。共通しているから何だって話かもしれないけど(笑)。
 
したがって、暗夜王国』のシナリオは『逆転検事2に似ているとも言えるだろう。暗夜王国』では、カムイが腐敗した暗夜王国を内側から改革するための冒険を繰り広げる。これは『逆転検事2で御剣が腐敗した検察を内側から改革したことを想起させる。『暗夜王国』はガロンという〈父親〉殺しの物語であり、ラスボスが意外な男性である。『逆転検事2』も過剰なまでの〈父親〉殺しの物語だったし、ラスボスが意外な男性であった。逆転検事2』が高評価されているんだから、『暗夜王国のシナリオももっと評価されるべきではないだろうか。
 
2017年『ファイアーエムブレムEchoes もうひとりの英雄王』

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『エコーズ』は、ファミコン用のゲーム『ファイアーエムブレム外伝』のリメイク版である。キャラクターデザインは初音ミクのCDや『ささみさん@がんばらない』のイラストを描いた左氏が担当しており、どことなく任天堂らしくないビジュアルになっている。『エコーズ』には「武器の使用回数制限が無い」「弓兵の攻撃範囲が異常に広い」といった、他のFEシリーズにはあまりない特徴が色々見られる。見た目も内容も他のシリーズとは異なっているので、色んな意味で『エコーズ』は「外伝」なのだろう。
 
『エコーズ』では、FEシリーズ定番の戦略シミュレーションに「広大なマップの移動」や「ダンジョンの探索」といったRPGらしい要素が融合している。そのため、却って本編よりも「シミュレーションRPGと呼ぶのに相応しい作品であった。美麗な3Dで描かれたダンジョンを探索し、仲間を育成するRPGの基本的な楽しさを思い出せるゲームである
 
『エコーズ』をプレイする上で特に押さえておきたいのは、「味方を早いうちにクラスチェンジさせるとゲームの攻略がしやすい」ということだ。他のFEシリーズでは、味方のレベルを上限の20まで上げきってから上級職に昇格させた方が賢明な場合が多い。しかしこの『エコーズ』は、味方が上級職に昇格できるレベルになったらすぐにクラスチェンジした方が得策であるように設計されている。他のFEシリーズに慣れているプレイヤーは、「クラスチェンジはレベル20になってから」という固定観念を捨てた方が良いと思う。
 
また、『エコーズ』には「ミラの歯車」という便利アイテムが存在する。ミラの歯車を使うと、油断や不運でミスしても時間を巻き戻せる。ミラの歯車の使用回数は、バトルに勝利したりダンジョンをクリアしたりすると復活するので、ガンガン使うと良いだろう。私は終盤までミラの歯車を使うのを何となく躊躇っていたのだが、早いうちから遠慮せず使うべきだったと後悔している。
 
遠距離からの容赦無い弓兵の攻撃、モンスターを複数召喚してくる敵、遠くからワープしてくる敵、厄介な魔法や地形効果など、FEらしく意地の悪い仕掛けに満ちた作品であるものの、エコーズ』はとても魅力的な作品だったと思う。
 

あとがき

今回の振り返りに加えて『風花雪月』が2019年に発売されたことを踏まえると、テン年代はFEにとって花盛りな時代だったなと思う。この記事を書いているうちに、私はニンテンドースイッチが欲しくなってきた。という訳で、ここにこっそり欲しいものリストを公開しておく。誰か私にスイッチを奢ってくれ。無理なら『風花雪月』のソフトやカップラーメンでもいいぞ。いつも頑張って更新してるんだから、みんな少しぐらい奢ってくれてもいいじゃんよ~。