かるあ学習帳

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文学

【疫病の文学】大江健三郎『芽むしり仔撃ち』解説

最近、新型コロナウイルスの影響で、カミュの『ペスト』がよく読まれているらしい。『ペスト』はアルジェリアのオランの町にペストが流行し、閉鎖された町の中でもがく人々を描いた小説である。疫病が現実の社会で流行しているため、疫病を描いた文学の需要…

大江健三郎「飼育」のあらすじと解説

皆さんが好きな芥川賞受賞作は何ですか?村田沙耶香の『コンビニ人間』でしょうか。村上龍の『限りなく透明に近いブルー』でしょうか。それとも、安部公房の『壁』?私は、大江健三郎の「飼育」が好きです!今回は、「飼育」のあらすじと解説を書きます。 「…

大江健三郎「奇妙な仕事」解説(後編)

「奇妙な仕事」の主人公「僕」たちは、一五〇匹の犬を殺すアルバイトを引き受けます。この物語を読み始めると仕事の内容の奇妙さに面食らいますが、読んでいるうちに、大江さんが表現したいことを伝えるためにはこのシチュエーションこそ相応しい…と思えてく…

大江健三郎「奇妙な仕事」解説(前編)

大江健三郎は、東京大学在学中に処女作「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞しました。文芸評論家・平野謙が「奇妙な仕事」を高く評価し、大江は学生作家として文壇にデビューすることになります。さて、「奇妙な仕事」とは一体どんな小説なのでしょうか。 「…

大江健三郎『燃えあがる緑の木』解説~喜びを抱け、人間は破壊されない~

さらに私の耳にはいまも私たちみなが未来に向けて唱和した言葉が鳴っているのだ。 ーRejoice!(第三部p.412) 『燃えあがる緑の木』の作中では、“Rejoice!”という言葉が愛唱されます。新潮文庫版『燃えあがる緑の木』の表紙にも、“Rejoice!”とデカい字で書いて…

大江健三郎『燃えあがる緑の木』第三部のあらすじと解説

今回は、大江健三郎の代表作『燃えあがる緑の木』第三部のあらすじと解説を掲載します。壮大な『燃えあがる緑の木』の物語は、この第三部で完結します。第三部は物語の起伏が激しく、なおかつメッセージ性にも富んでおり、ラストに相応しい内容でした。 『燃…

イェーツ「Vacillation」I節を読む~『燃えあがる緑の木』第二部を手がかりにして~

「Vacillation」(『対訳 イェイツ詩集』所収) イェーツ(高松雄一編) 岩波文庫 2009年初版発行 今回は、アイルランドの詩人・イェーツの詩「Vacillation(ヴァシレーション)」を解読します。「vacillation」という単語は、日本語では「動揺」「揺れ動く…

大江健三郎『燃えあがる緑の木』第二部のあらすじと解説

今回は大江健三郎の後期の大作『燃えあがる緑の木』第二部のあらすじと解説を掲載します。この小説は第二部から一気に論点が増えます。今回でその全てを語り尽くすことは不可能ですが、とりあえず語れるところまで語ってみましょう。 『燃えあがる緑の木 第…

大江健三郎『燃えあがる緑の木』第一部のあらすじと解説

今回は、日本人で2人目のノーベル文学賞作家・大江健三郎の代表作『燃えあがる緑の木』第一部のあらすじと解説を掲載します。先月、Eテレの「100分de名著」という番組で『燃えあがる緑の木』が取り上げられたので、この機会に番組の内容も考慮しつつ考察して…

ドストエフスキー『罪と罰』を読み解く~「7」からはじまる物語~

今回は、ロシアの文豪ドストエフスキーの代表作『罪と罰』を読み解きます。はじめにお礼申し上げますが、この記事はfufufufujitani様からの激励と承諾によって完成しました。fufufufujitani様、本当にありがとうございました。 『罪と罰(1~3)』 ドストエフス…

カミュ『異邦人』の考察~最後の一文編~

今回は、ノーベル賞作家アルベール・カミュの代表作『異邦人』の結末を解説します。なお、ベルナール・パンゴーの仮説については、N大学のT.H先生にメールで教えていただきました。T先生、お忙しいところ教えて頂きありがとうございました。 『異邦人』 アル…

宮沢賢治「よだかの星」批評~鮮やかな逆転~

今回は、宮沢賢治の童話「よだかの星」を批評します。いやその、試しに「シーシュポスの神話」を再読した感想を書いてみたんですが、色々な事情で下書きをボツにしてしまいまして…。そのため「シーシュポスの神話」の感想の代わりに、『青い空のカミュ』の作…

カミュ「シーシュポスの神話」批評~幸福と不条理は兄弟である~

今回は、カミュのエッセイ「シーシュポスの神話」を解読します。「シーシュポスの神話」は短いエッセイですが、読む者の幸福観を大きく変える力のあるテクストです。『青い空のカミュ』製品版を批評する前に、まずはこのエッセイを読みこんでおくべきだとい…

カミュ「不貞」批評~星空と不倫した女~

「不貞」(『転落・追放と王国』所収) アルベール・カミュ(窪田啓作訳) 新潮文庫 2003年初版発行 今回は、カミュのマイナーな短編小説「不貞」を批評します。この小説は一言で言うと、「人妻が星空と不倫する小説」ですw人妻が星空と不倫するとは、いった…

カミュ『異邦人』の考察~母への愛情編~

『異邦人』 アルベール・カミュ(窪田啓作訳) 新潮文庫 1954年初版発行 今回は、前回に引き続きカミュの小説『異邦人』の考察です。強烈な性格の持ち主である主人公・ムルソーが母親に対して抱いた愛情を考察してみます。 不可解な言動をする男 『異邦人』…

カミュ『異邦人』の考察~ムルソーの性格編~

『異邦人』 アルベール・カミュ(窪田啓作訳) 新潮文庫 1954年初版発行 私は最近、フランスのノーベル賞作家アルベール・カミュの小説を読んでいます。私はカミュの崇高な理念を理解するためにカミュの小説を読んでいる…のではなく、これから発売されるエロ…

【日本文学】ココがヘンだよ!谷崎潤一郎の『文章読本』

谷崎潤一郎『文章読本』 中公文庫 1975年初版発行 私は最近、文豪・谷崎潤一郎が書いた『文章読本』という本を読みました。 この本は日本語の文章を書くときの心得がまとめられた本で、谷崎が日本語の文章を書くときに気を付けていることがいろいろ書いてあ…