かるあ学習帳

…ゲームと学問への考察を深めたい…

【哲学】『なぜ世界は存在しないのか』をがんばって読んでみた。

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『なぜ世界は存在しないのか』

マルクス・ガブリエル
清水一浩訳
2018年発行
 
ここ最近はポケモンのことばっかりブログに書いてきましたが、今回は哲学について書いてみます。今回私が取り上げるのはマルクス・ガブリエルの『なぜ世界は存在しないのか』です。私はマルクスガブリエルという哲学者に全然興味がなかったのですが…。職場の上司に
 
「君は哲学科の出身だろ?このマルクスガブリエルっていう人は最近日本にも来て話題になっているんだよ!」
 
と言われ、『なぜ世界は存在しないのか』を紹介されまして。せっかくだから読んでみようと思った次第です。一通り読み終わっての感想ですが、「新しい実在論が展開される前半部分は面白かったです。自然科学・宗教・芸術について語られる後半部分の議論はなんだかモッサリしていて、読んでいてあまり知的興奮を覚えませんでしたが(偉そうなことを言ってすみません)。
 
マルクス・ガブリエルの「新しい実在論」の内実について、忘れないうちにまとめておこうと思います。

「意味」と「意義」

私は清水一浩訳の『なぜ世界は存在しないのか』を読んで、「意味」と「意義」の訳し方がすごく紛らわしくて注意が必要だなと思いました。
 
この本の99-102,246,251-253,258ページでは、フレーゲの哲学が論じられています。これらのページでは、表現の与えられ方ジンSinnが「意味」と訳されており、表現が指し示している対象ベドイトウングBedeutungが「意義」と訳されています。
 
フレーゲの哲学を少しでもご存じの方なら、「これは逆ではないか?」と反論したくなると思います。普通フレーゲの和訳ではSinnを「意義」と訳し、Bedeutungを「意味」と訳すからです。
 
私は最初この本を読んで、SinnとBedeutungが誤訳されているのかな?と思いました。しかし、この本の322ページによると、訳者の清水氏は意図的に訳語の充て方を正反対にしているそうですフレーゲに慣れ親しんだ読者は、このことに注意してこの本を読むべきかと思います。

新しい実在論

ガブリエルが提唱する「新しい実在論」は、従来の「形而上学」とも「構築主義」とも異なるものです。ガブリエルのいう「形而上学とは、人間の認識に依存せずに存在する唯一の現実的な対象だけが存在すると考える立場です。また、ガブリエルのいう「構築主義」とは、観察者の視点に依存する対象が観察者の視点の数だけ存在すると考える立場です。ガブリエルは、形而上学構築主義と新しい実在論の違いを、以下の例によって説明しています。
 
 新しい実在論は、どのような点で、世界にたいする新しい考え方をもたらすのか。これを理解するために、ひとつ簡単な例をとりましょう。アストリートさんがソレントにいて、ヴェズーヴィオ山を見ているちょうどそのときに、わたしたち(この話をしているわたしと、それを読んでいるあなた)ナポリにいて、同じヴェズーヴィオ山を見ているとします。とすると、このシナリオに存在しているのは、ヴェズーヴィオ山、アストリートさんから(ソレントから)見られているヴェズーヴィオ山、わたしたちから(ナポリから)見られているヴェズーヴィオ山ということになります。(pp.13-14)
 
この例では、少なくとも以下の四つの対象が登場します。
 
1…ヴェズーヴィオ
2…ソレントから見られているヴェズーヴィオ山(アストリートさんの視点)
3…ナポリから見られているヴェズーヴィオ山(あなたの視点)
4…ナポリから見られているヴェズーヴィオ山(わたしの視点)
 
形而上学は、1だけが存在すると考えます。構築主義は、2と3と4が存在すると考えます。新しい実在論は、1も2も3も4もすべて存在すると考えます。新しい実在論は、「わたしたちの思考対象となるさまざまな事実が現実に存在しているのはもちろん、それと同じ権利で、それらの事実についてのわたしたちの思考も現実に存在している」(p.15)と主張するのです。

意味の場

ガブリエルは「すべてを包摂する領域」である世界の存在を否定し、世界以外のすべてのものが存在することを示すために、「意味の場Sinnfelder」という概念を導入します。ガブリエルは、何かが現れてくる場を「意味の場」と呼んでいます。
 
 何らかの意味の場に何かが現象することがありうるためには、その何かがそもそも何らかの意味の場に属していなければなりません。たとえば、水はガラス壜のなかにあることがありえますし、何らかの着想はわたしの世界観に属するものでありえます。同じように、ひとは国民として何らかの国家に所属していることがありえます。3という数は自然数に属していますし、分子は宇宙の一部をなしています。(p.108)
 
興味深いことにガブリエルは、ガラス壜や宇宙のように物質的な場を意味の場だと認めているだけでなく、世界観や国家や自然数のように非物質的な場も意味の場だと認めています。あるものが何らかの意味の場に現象するとき、そのあるものは存在します。
 
こう考えると、「魔法少女」や「ピカチュウ」のような虚構の対象にも、存在する場所が与えられます。ある人が虚構の魔法少女を妄想しているとき、魔法少女は妄想という意味の場に現象し、存在しています。また、ピカチュウはトキワのもりという虚構の場所に生息しているという設定になっているので、ピカチュウもトキワのもりという意味の場に現象し、存在しています。
 
こうして考えると、ガンダムも宇宙人も一角獣も、あらゆるものは何かしらの場所に存在することになるじゃないか!と思えてきます。しかしガブリエルは、
 
世界以外のすべてのものは存在しているが、世界は存在しない
 
と主張します。
 
ガブリエルは「世界」を、「すべての意味の場の意味の場、それ以外のいっさいの意味の場がそのなかに現象してくる意味の場」(p.109)と定義します。するとこの定義だと、世界自体はどのように現象すればいいのかを論理的に説明できなくなります。
 
もしも世界が存在するとしたら、世界は何らかの意味の場S1のなかに現象しなければなりません。世界はすべての意味の場を包摂しているので、意味の場S1は世界のなかに現象します。すると、世界のなかに意味の場S1が現象し、意味の場S1のなかにも世界が現象するという、奇妙な事態になります。
 
かりに世界が存在すると仮定するとこのように論理が破綻するので、世界は存在しないことになります。そして、すべての意味の場を包摂する世界は存在せず、果てしなく増殖を続ける無数の意味の場だけが存在することになります。これが、「世界が存在しないことが、意味の炸裂を惹き起こす」(p.292)ということです。

【ポケモンSM・USUM】アローラが受け入れた「自分たちとは異なるもの」

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異世界の存在の登場

ポケモンサンムーン・ウルトラサンムーン(以下SM・USUM)は、今までのポケモンシリーズにはない斬新な要素がたくさんあるソフトです。例えば、ひでんマシンが廃止されてポケモンライドが導入されたり、ジムリーダーが廃止されてしまキング・しまクイーンが登場したりと、従来のポケモンシリーズの伝統を刷新するような要素がたくさん盛り込まれているのがSM・USUMの特色だといってよいでしょう。

 
SM・USUMの新要素の中で私にとって特に革新的だったのは、ウルトラビーストの存在です。ウルトラビースト異世界からやってきた特殊なポケモンで、普通のポケモンとは明らかに異なった得体の知れない外見をしています。異世界であるウルトラスペースへの通路が開かれたり、ウルトラビーストが人間に寄生したりする場面は、従来のポケモンの世界観を覆すような衝撃的な場面でした。SM・USUMでは、異世界の存在を描写する野心的な試みがなされていると思います。

ティラノサウルスという「異物」

異世界の存在が現れるポケモンSM・USUMのシナリオを読んでいると、「ポケモン映画幻の第3作」のお話を私は思い出します。ポケモン映画の第3作目として公開されたのは『結晶塔の帝王 ENTEI』ですが、その前にボツになった「幻の第3作」のシナリオがありました。「幻の第3作」のあらすじがWikipediaに載っていたので、そのまま掲載します。
 
物語は、人間とポケモン以外の動物がいないはずのアニメポケモンの世界でティラノサウルスの化石が発見されるという事件から始まる。この発見にポケモン学会は大騒ぎになり、やがて学者達は自分達の住む世界に何か秘密があるのではと疑問を抱き始める。しかし例のティラノサウルスの化石に意思が宿り、動き始め暴走してしまう。サトシ達やロケット団世界中の人間やポケモン達がティラノサウルスを食い止めようとする。ラストでティラノサウルスはとある場所で動かなくなり、人々は「一体あれはなんだったのか」「自分達の住む世界は、一体どんな世界なんだろう」と視聴者に疑問を投げかける形で幕を閉じる。
(Wikipediaより)
 
このシナリオがボツになって代わりに「結晶塔の帝王 ENTEI」が公開されるわけですが、このボツになった「幻の第3作」のシナリオはとても興味深いものだと思います。このシナリオでは、人間とポケモン以外の動物が存在しないポケモンの世界における「異物」として、ティラノサウルスが登場します。ティラノサウルスという「異物」は暴走して世界中の人間やポケモンの平和を脅かすだけでなく、アニメポケモンの世界の人々に自分達の住む世界のあり方に対する疑問を突きつける存在でもあります。「幻の第3作」に登場するティラノサウルスは、ポケモンの世界を脅かす「異物」という点で、ウルトラビーストに近い立場にあると私は考えています。
 
この「幻の第3作」がボツになった根本的な理由として、
ポケモンの世界の了見の狭さが原因でシナリオが破綻してしまったこと
が挙げられると思います。
 
少しきつい言い方になりますが、ポケモンの世界はティラノサウルスのような「異物」に対しては非常に了見の狭い世界なのです。人間とポケモンの集合に含まれないティラノサウルスという「異物」がひとたび現れたら世界中が大混乱になり、世界自体の基盤が揺るがされてしまうくらい、ポケモンの世界は「異物」に弱いのです。「幻の第3作」ではポケモンの世界が「異物」に対処しきれずシナリオ自体が破綻してしまったため、「幻の第3作」はボツになったのだと考えられます。この「異物」という弱点は、「幻の第3作」がお蔵入りになるとともにうやむやにされ続けていたと思います。

迎え入れられた「自分たちとは異なるもの」

ポケモンSM・USUMは、ポケモンの世界が長らく苦手にし続けてきた「異物」に正面から立ち向かい、「異物」を迎え入れることに成功した作品だと思います。SM・USUMのシナリオでは、既存のポケモンとは異なる「異物」であるウルトラビースト異世界であるウルトラスペースの様子が真っ向から描かれています。
 
SM・USUMの主人公がウルトラビーストという「異物」を排除するのではなく捕獲することに成功したことは、賞賛に値することだと思います。ポケモンSMのクリア後のイベントである「ハンサムイベント」では、アローラ各地に現れたウルトラビーストの捕獲が行われます。従来のポケモンの世界にとって異質な存在であるウルトラビーストを捕獲し、ポケモン図鑑に登録するという行為がアローラの世界で達成されたことは、注目に値します。
 
アローラ地方ウルトラビーストのような「異物」のみならず、「異文化」とも共存する地方だと思います。カントージョウトを旅したことのあるトレーナーが中心になって作ったカンタイシティ、カントーのジムを模して作られたジムオブカントージョウトから来た人たちが作ったマリエていえん…など、他の地方の文化を排除せずに柔軟に迎え入れる風土がアローラでは形成されています。SM・USUMの主人公はカントーからアローラに引っ越してきたよそ者ですが、排除されずに歓迎されています。
 
アローラ地方では、「異物」や「異文化」が排除されることなくおおらかに受け入れられています。もしもアローラ地方ティラノサウルスが現れたとしても世界は破綻せず、ティラノサウルスは「ウルトラビーストのように特殊な生物の一種」として対処されるのではないでしょうか。ポケモンSM・USUMは「自分たちとは異なるもの」を積極的に受け入れ、ポケモンの世界の了見を広げることに成功した作品だと思います。

まとめ

ポケモンSM・USUMでは、ウルトラビーストという異世界の存在が新たに登場しました。「異物」を長らく苦手にし続けてきたポケモンの世界にとって、ウルトラビーストの登場は革新的なことでした。SM・USUMは、ポケモンの世界の了見を広げた作品として評価できると思います。最近ライトノベルやアニメでは異世界を舞台にした作品が多く見受けられますが、ポケモンの世界も異世界の存在を受け入れつつあるようです。

【ポケモンUSUM】バトルツリーダブルで50連勝して思ったこと。

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私はポケモンUSUMのバトルツリーで、シングルバトルに続いてダブルバトルでも50連勝しました。

あくまでも私の主観的な感想ですが、バトルツリーはシングルよりもダブルのほうが簡単に勝てると思いました。
あと、ダブルはシングルよりも短期決戦になりやすく、試合がすぐに終わると思いました。
ダブルはシングルよりも難しそうだし試合が長引きそう…という先入観を持っていた私ですが、実際にバトルしてみたらその先入観は180度変わりましたね(あくまでもレートバトルではなくバトルツリーの話ですが)。
シングルよりもダブルの方が効率よくBPを稼げると思うので、おすすめです。

私の50連勝パーティ

↓私は以下のポケモン4匹で50連勝しました。

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初手ではカプ・コケコとクレセリアを投げました。
 
私のダブル50連勝パーティの基本的な戦略は、いたってシンプルなものです。エレキフィールドといのちのたまで強化されたコケコの10まんボルト、ノーマルZで強化されたカミツルギギガインパクトひでりで強化されたメガリザYのかえんほうしゃを、クレセリアのてだすけでさらに強化して撃つというものです。長らく居座られると面倒なことになりそうなポケモンを優先して高火力で仕留めるのが、このパーティを使うコツです。
このパーティの弱点は、トリックルームにとても弱いことです。クレセリア以外のポケモンはみんな高速アタッカーなので、すばやさを逆転されたら手も足も出なくて負けます。おそらくこのパーティでレートに潜ったらトリルパにボコられてすぐ負けるだろうなと思います(苦笑)。
 
まず、カプ・コケコについて。

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特性…エレキメイカ
性格…おくびょう(すばやさこうげき)
持ち物…いのちのたま
努力値…CS252 残りH
技…10まんボルト/マジカルシャイン/めざめるパワー氷/とんぼがえり
私はカプ・コケコの10まんボルトを、エレキフィールドといのちのたまとクレセリアのてだすけで超強化してぶっぱなしました。超強化された10まんボルトの威力はすさまじく、多くのポケモンを一発で倒せました。
あと、ダブルのコケコのマジカルシャインは超強い!と思いました。マジカルシャインはシングルだと威力が控えめで地味な技という感じがしますが、ダブルだと味方を含まない相手全体攻撃になるので強力です。いのちのたまとクレセリアのてだすけで強化されたマジカルシャインを相手全体にぶちかますのは爽快でした。
 
続いて、クレセリアについて。

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特性…ふゆう
性格…ずぶとい(ぼうぎょこうげき)
努力値…HB252 残りD
技…サイコキネシス/こごえるかぜ/てだすけ/つきのひかり
ダブルのクレセリアは超頼もしいポケモンだなと思いましたクレセリアはシングルだと攻撃力の低さが災いして積みの起点にされたり、天敵であるミミッキュにボコられたりしていまいち活躍できないポケモンだと私は思っていますが、ダブルのクレセは一味違います。
味方を含まない相手全体攻撃であるこごえるかぜを撃って相手全体の素早さを下げたり、てだすけで味方の攻撃を強化したりと、ダブルのクレセリアは素晴らしいサポート役をこなします。クレセリアは耐久に優れたポケモンなので、いろんな方向から技が飛んでくるダブルでも堂々と居座れました。
ただ、クレセリアエレキフィールドの相性があまりよくないのは残念だと思いました。クレセリアはふゆうで浮いているポケモンなので、コケコでエレキフィールドを張っても眠ってしまうのです。
 
3匹目、カミツルギについて。

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特性…ビーストブースト
性格…ようき(すばやさとくこう)
持ち物…ノーマルZ
努力値…AS252 残りH
カミツルギはダブルで強いという噂を聞いたので採用しました。このカミツルギギガインパクトを覚えさせ、ノーマルZを持たせたのは…バーチャルYoutuberの夢咲楓さんのアイディアをパクりました(苦笑)。ノーマルZで威力UP&必中になり、クレセリアのてだすけで超強化されたギガインパクトの火力はものすごかったです。
カミツルギの特性であるビーストブーストは、ダブルだと発動する機会によく恵まれました。カミツルギは持ち前の高いすばやさでいろいろなポケモンを上から仕留めることができ、こうげきを上げる機会に恵まれています。後述するようにダブルでは積み技を積んでいる暇がないので積み技を使わなくても自動的にこうげきを上げられるビーストブーストは重宝しました。カミツルギはぼうぎょの種族値ナットレイと同じく131もあるので、いろんな方向から飛んでくる物理攻撃に強いところも頼りになるなと思いましたね。
 
4匹目、メガリザードンYについて。

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特性…もうか→ひでり
性格…おくびょう(すばやさこうげき)
持ち物…リザードナイトY
努力値…CS252 残りH
ダブルのメガリザは9割以上がYだそうですが、その理由としてメガリザYの天候書き換え能力が挙げられると思います。天候を雨や霰などに変えてくるポケモンはレートバトルだけでなくバトルツリーにもよく現れますが、ガリザYがいれば特性ひでりで天候を奪取できます。以前ワラミキ様の「ラグペリナット構築」を使わせていただいた時も感じましたが、ガリザYは相手に有利な天候を上書きできるところが本当に強いと思いましたね。ひでりで威力があがったかえんほうしゃクレセリアのてだすけでさらに強化したら、すごい火力になりました。
クレセリアだけでなくメガリザYもエレキフィールドとの相性があまりよくないのは残念だと思いました。ガリザYはひこうタイプだからフィールドの恩恵を受けられないし、弱点であるでんきタイプの技の威力が上がるのはミスマッチだなと思いました。

ダブルバトルをして気づいたこと

私はバトルツリーダブルで50連勝して、以下の3つのことに気づきました。
 
1.積み技を積んでいる暇がない
2.ミミッキュがシングルの時ほど強くない
3.受けループが機能しにくい
 
まずは1つ目、
「積み技を積んでいる暇がない」
 
ダブルではシングルと違っていろいろな方向から攻撃が飛んでくるので、りゅうのまいつるぎのまいなどの積み技を悠長に積んでいる暇がありません。ダブルではいかりのこなやこのゆびとまれを使って相手の気を引いている隙に積み技を積むコンボが有名ですが、こうした補助技を使わないと積めないくらい積む暇がなかなか見つからないです。
 
2つ目は、
ミミッキュがシングルの時ほど強くない」
 

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ミミッキュはシングルでは超強いポケモンで、PGLのシングルレート使用率ランキングで常にトップを維持しています。ですが、ミミッキュはダブルの時はシングルの時ほど強くありません。ダブルバトルではいろいろな方向から攻撃が飛んでくるので、ミミッキュのばけのかわはすぐに剥がれます。ダブルバトルでは積み技を積んでいる暇があまりないので、悠長につるぎのまいを積むこともままならない。ばけのかわで行動保証されているうちにつるぎのまいを積む、というミミッキュお得意の戦略がダブルではなかなか通せないことを実感しました。
 
3つ目は、
「受けループが機能しにくい」
 
ダブルではいろいろな方向から多種多様な攻撃が飛んでくるので、相手の攻撃を完璧に受けきることがとても難しいです。じこさいせいやはねやすめなどでHPを半分回復しても、回復が追いつかない場合が多い。相手の攻撃を完璧に受けつつ、相手の行動を読んで自分のポケモンを交代させる受けループが、ダブルではなかなか成立しません。ダブルでは受けループが成立しにくいので、短期決戦になりやすいと思いました。
 
ダブルは鬱陶しいミミッキュや受けループが機能しにくい環境なので、そういう点では心地よい世界だと思いました。ミミッキュや受けループがウザくてかなわん!という方はダブルに挑戦してみてはいかがでしょうか。
 
あと、私は以前の日記でバトルツリーで50連勝するためには
 
1.選出した3匹のポケモン(注:ダブルでは4匹)は安易に切らずに大切に温存する
2.催眠対策をする
3.命中率90%以下の技はなるべく採用しない
 
ことが大切だと申し上げましたが、このことはシングルだけでなくダブルにも当てはまると思いました。以前の日記もよければ参考にしてみてください。こちらはシングルの攻略記事でございます↓

【ポケモンUSUM】ドクZゲッコウガの育成論

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最近ポケモンにハマっているので(笑)、今回もポケモンUSUMの考察記事です!
ドクZゲッコウガを育成してみたらけっこう強かったので、今回はドクZゲッコウガの育成論をみなさんにお伝えします。

ドクZゲッコウガの採用理由

私はドクZゲッコウガ(NN:くのいち)を以下の型で使用しています。

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性格…むじゃき(すばやさとくぼう)
持ち物…ドクZ
努力値…A30 C228 S252
実数値…147-119-87-152-81-191
技…ダストシュート/れいとうビーム/あくのはどう/みずしゅりけん

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PGLの統計を見た限り、ミズZやクサZを持ったゲッコウガは現在のレート環境にそれなりにいるようですが、ドクZを持ったゲッコウガはほぼいないといってよいようです。ですが私はドクZゲッコウガを愛用しています。
 
ドクZゲッコウガのメリットは、
ダストシュートを威力UP&必中で撃てること
です。
 
本来ダストシュートの命中率は80%で、たまに外れます。ダストシュートは威力が120ある強力な技ですが、命中不安なので、ここ一番で外れることがたまにあります。命中率が不安なダストシュートをドクZで必中にし、環境にはびこるフェアリータイプのポケモンを確実に倒していこうと思い、私はドクZゲッコウガを育成することにしました。

ドクZ、ダストシュートのダメージ計算

この型のゲッコウガのドクZは、環境で幅を利かせるフェアリーを確実に仕留めます。カプ・コケコやスカーフテテフよりも素早さが遅いのは残念ですが…。(ドクZゲッコウガがコケコやスカーフテテフよりも早かったら、もっと流行してると思う)耐久に優れたカプ・ヒレに対してかなり有利に戦えるのは、ドクZゲッコウガの強みではないでしょうか?
 
H252カプ・レヒレ:106.2%~126.5%
HB252ずぶといカプ・レヒレ:79~94.9%
H252カプ・テテフ:152.5~179.6%
HB252わんぱくカプ・ブルル:158.1~189.8%
H252カプ・コケコ:136.7~162.7%
 
コケコやスカーフテテフには交代読みで撃とう(笑)
 
H252マリルリ:122.7~145.8%
H252アシレーヌ:144.3~171.1%
H252トゲキッス:115.6~137.5%
 
H252ジャローダ:121.9~145%
H4ミミッキュ:96.9~115.2(乱数81.3%)
H4ウルガモス:93.7~110.5%(乱数62.5%)
H4ゲッコウガ:99.3~117.5%(乱数93.8%)
 
毒技が抜群じゃないミミッキュウルガモスを相手の調整次第では一発で倒せるのは何気に強みですね。ゲッコウガミラーになってもドクZがあれば優位に立てます。
 
参考のため、ドクZを使わずに普通にダストシュートを撃った場合のダメージ計算も載せておきます。
 
・ダストシュート
H252カプ・レヒレ:67.7~81.3%(確定2発)
HB252ずぶといカプ・レヒレ:50.8~61%(確定2発)
H252カプ・テテフ:96~115.2%(乱数75%)
H4カプ・テテフ:116.4~139.7%
HB252わんぱくカプ・ブルル:101.6~122%
H252カプ・コケコ85.8~102.8%(乱数12.5%)
H4カプ・コケコ:104.1~124.6%
 
H252マリルリ:78.2~92.7%(確定2発)
H252アシレーヌ:90.9~109%(乱数50%)
H252アローラキュウコン:94.4~113.3%(乱数75%)
H252トゲキッス:72.9~87.5%(確定2発)
 
H252ジャローダ:76.9~92.3%(確定2発)
 
ご覧の通り、普通のダストシュートだと環境にはびこるフェアリーたちを一発で倒せるかどうか微妙なところです。ドクZがなかったら、命中不安のダストシュートを複数回当てないと勝てない戦いを強いられることがしばしばあります。計算してわかったことなのですが、ゲッコウガにダストシュート覚えさせたからフェアリーはもう安心♪とまではいかないのが現状なんですね。そこでドクZの出番というわけです。

残りの技のダメージ計算

H4ガブリアス:163~191.3%
HD252メガボーマンダ:108.9~130.6%
HD252しんちょうグライオン:125.2~147.2%
H4アーゴヨン:112.7~132.8%
H252チョッキ霊獣ランドロス:106.1~128.5%
H4霊獣ボルトロス:100.6~120%
 
H4霊獣ボルトロスをギリギリ確定1発で倒せるところまでCに振りました。ドクZだけじゃなくてれいとうビームもすごく強力ですね。
 
H252ギルガルド(シールドフォルム):50.2~58.6%
H252メガゲンガー:71.8~86.2%
 
あくのはどうの威力はわりと控えめです。ひるませることができたらメガメタグロスギルガルドにも勝てる
 
・みずしゅりけん(一発)
H4バシャーモ:20.5~24.3%
一舞H4ウルガモス:8.6~12.4%
H4ドリュウズ:17.2~20.4%
 
みずしゅりけんを運よく5回当てればバシャーモドリュウズにも勝てるかもしれない。
 
Sに252振ったのは最速アーゴヨンを抜くためです。

まとめ

この型のドクZゲッコウガの主な利点は、
・命中不安のダストシュートを威力UP&必中にできること
・現環境に多いフェアリーやドラゴンを確実に倒せること
だと思います。
 
ドクZゲッコウガの主な欠点は、
・コケコやスカーフテテフに勝てないこと
だと思います。
 
うーん、やっぱりドクZゲッコウガよりもタスキゲッコウガやスカーフゲッコウガのほうが強いかなあ(苦笑)。タスキゲッコウガやスカーフゲッコウガだったら、ダストシュート当てればコケコやスカーフテテフに勝てるもんなあ
 
ご意見・ご感想お待ちしております。ダメージ計算に間違いがあったらご連絡いただけると助かります。

【ポケモンUSUM】QRレンタルチーム「ラグペリナット構築」を使ってみた感想。

今回は久しぶりにポケモンUSUMの考察記事です!

私は最近、QRレンタルチーム「ラグペリナット構築」をレンタルしてレートに潜っています。

このパーティはワラミキ様という方が考案なさったパーティで、いわゆる雨パです。

パーティの構成はこんな感じです↓

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このパーティのコンセプトは非常に明快です。

まずペリッパーの特性「あめふらし」で天候を雨にし、その後でラグラージに交代。

特性「すいすい」で素早さが2倍になったメガラグラージでひたすら殴りまくる!という戦略です。

攻撃力・耐久・素早さともに高水準なメガラグラージで相手を叩き潰すのは、とても爽快です!

雨パと相性の良いナットレイ、雨の恩恵でかみなりを必中で撃てるカプ・コケコも大活躍です。

今回はそんな「ラグペリナット構築」を使ってみた感想を書いていきます。

ガリザXなのか?Yなのか?それが問題だ!

「ラグペリナット構築」を使ううえで非常に厄介だった一匹のポケモンがいます。

それはガリザードンです!

特に、メガリザードンYに要注意です!

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ガリザYは特性「ひでり」でペリッパーが降らせた雨天候を書き換え、天候を晴れにします。

そしてメガリザYはソーラービームを撃ち、ラグラージに効果抜群の4倍ダメージを与えます。

さらにメガリザYはほのおタイプのポケモンなので、ナットレイにも効果抜群の4倍ダメージを与えることができます。

要するにメガリザYは、「ラグペリナット構築」のメインであるペリッパーラグラージナットレイの3匹を壊滅できる恐ろしいポケモンなのです!

ガリザYを倒すためには、メガリザYよりも素早くてでんきタイプの技で抜群を狙えるカプ・コケコを選出するのが有効です。

しかし困ったことに、カプ・コケコはメガリザXに対してあまり強くありません。

ガリザXは、でんきタイプの技のダメージを半減にします。

相手のメガリザがYだと思ってコケコを選出したら、メガリザXに圧倒されたことがたまにありました。

メガバシャーモストーンエッジならメガリザXにもYにも抜群で入りますが、「ラグペリナット構築」のメガバシャの性格はようきであるため、メガリザXを一発で倒すことができません。

メガバシャもメガリザXに対してそこまで強くなかったです。

ガリザXなのかYなのかを読み間違えたらパーティがあっという間に壊滅しかねないとよく言われますが、このことは「ラグペリナット構築」に特に当てはまると思います。

相手のメガリザがXだと思われるときはラグペリを選出すればいいのですが、それだとメガリザYに弱くなってしまう。

相手のメガリザがYだと思われるときはコケコやバシャを選出すればいいのですが、それだとメガリザXに弱くなってしまう。

「ラグペリナット構築」は、相手のメガリザがXなのかYなのかを見極める洞察力が要求されるパーティだと思いました。

ラティオスの出番がねえ!

「ラグペリナット構築」で一番選出率の低いポケモンは、ラティオスでした。

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ラティオスは準伝説のポケモンだし、りゅうせいぐんサイコキネシスなどの強力な技を覚えているのでそりゃあもう強いんだろうなあと思っていましたが…びっくりするほど出番がなかった!

現環境にはミミッキュゲッコウガギルガルドアーゴヨンなど、ラティオスに対して強く出られるポケモンが多すぎて、ラティオスを選出する気にはとてもなれませんでした。

相手のスカーフガブリアスげきりんラティオスが一発で倒されたこともあったなあ(苦笑)

ラティオスは現環境で活躍しづらいポケモンだなと思いました。

(作成者のワラミキ様、すみません)

まとめ

私は「ラグペリナット構築」を使って、「メガリザYはラグペリナットに強いなあ」「ラティオスは現環境で不利だなあ」と思いました。

「ラグペリナット構築」は、雨パの使い心地を知るうえでとても参考になるQRレンタルチームでした。

作成者のワラミキ様、素晴らしいレンタルチームをありがとうございました!

この場を借りてお礼申し上げます。

【インド哲学】『バガヴァッド・ギーター』をわかりやすく解説するよ!

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『バガヴァッド・ギーター』

上村勝彦訳

岩波文庫

1992年初版発行


みなさんは『バガヴァッド・ギーター』を読んだことがありますか?

『バガヴァッド・ギーター』ヒンドゥー教の代表的な聖典ですが、日本ではあまりよく知られていない書物だと思います。

ヒンドゥー教聖典というだけあって、『バガヴァッド・ギーター』には私たち現代の日本人には親しみのわかないことがたくさん書いてあります。

しかし、作中で偉大なクリシュナが説く現在への集中は、不安や後悔を取り払う素晴らしいアイデアだと思います。

今回はそんな『バガヴァッド・ギーター』について考察していきたいと思います。

 

カースト制度と戦争の肯定


『バガヴァッド・ギーター』は、パーンダヴァ軍とカウラヴァ軍が同族同士の戦争をしようとする場面から始まります。パーンダヴァ軍のアルジュナは、戦争で同族を殺さなければならないことを悲しみ、戦意を喪失します。なんと言いますか、冒頭からいきなり大ピンチです(汗)


戦場で同族を殺すことをためらうアルジュナに対して、なんとクリシュナは戦士としての戦いに専念するように説得します。クリシュナはアルジュナに、カースト制度(身分制度)によって決められた戦士としての義務を果たすことを勧めます。

 

「更にまた、あなたは自己の義務を考慮しても、戦慄くべきではない。というのは、クシャトリヤ(王族、士族)にとって、義務に基づく戦いに勝るものは他にないから」(二・三一)。

「苦楽、得失、勝敗を平等(同一)のものと見て、戦いに専心せよ。そうすれば罪悪を得ることはない」(二・三八)

 
戦争や殺人は良くないことだと教わっている私たち日本の現代人にとって、『バガヴァッド・ギーター』の教説はいささか野蛮に思えます。『バガヴァッド・ギーター』の問題点は、身分制度と戦争を肯定しているところだと私は思っています。『バガヴァッド・ギーター』はカントの『実践理性批判のように義務を重んじる哲学書ですが、普遍的に妥当する道徳法則ではなくローカルな身分制度に基づく義務を肯定しているので、そこから過激な結論が導き出されているかと思います。では次に、『バガヴァッド・ギーター』の良いところ、というか見どころを見ていきましょう。

 

現在への集中と強大なカーラ


クリシュナはアルジュナに、結果を気にせず戦士として戦うよう忠告します。『バガヴァッド・ギーター』の見どころは、成果主義の放棄です。成果主義の放棄が説かれる以下の教説は、とても格調高い文章です。

 

「あなたの職務は行為そのものにある。決してその結果にはない。行為の結果を動機としてはいけない。また無為に執着してはならぬ」(二・四七)。

アルジュナよ、執着を捨て、成功と不成功を平等(同一)のものと見て、ヨーガに立脚して諸々の行為をせよ。ヨーガは平等の境地であると言われる」(二・四八)。

 
勝敗や成功不成功などの結果を気にして行為すると、未来への不安が尽きません。そこでクリシュナは、欲望や執着を捨てて現在なすべき行為に集中し、心の平安を得るようにアルジュナに提案します。現在なすべき行為に集中することにより、未来への不安や過去への後悔を取り払うことができるのです。(参考文献:片岡啓「生老病死の苦界から」九州大学出版会『生と死の探求』所収、2013年)

 

「自己の義務の遂行は、不完全でも、よく遂行された他者の義務に勝る。自己の義務に死ぬことは幸せである。他者の義務を行うことは危険である」(三・三五)。


この教説は、読んでいてとても励みになりますね。完璧な仕事ができなくてもいいんです。肝心なのはカーストによって定められた自己の義務に専念することであり、他者の義務を行うことではないとクリシュナは言います。


第11章のクリシュナが強大なカーラとしての自分の姿を見せる場面も、格調高い文章で綴られています。

 

「私は世界を滅亡させる強大なるカーラ(時間)である。諸世界を回収する(帰滅させる)ために、ここに活動を開始した。たといあなたがいないでも、敵軍にいるすべての戦士たちは生存しないであろう」(十一・三二)。

「それ故、立ち上れ。名声を得よ。敵を征服して、繁栄する王国を享受せよ。彼らはまさに私によって、前もって殺されているのだ。あなたは単なる機会(道具)となれ。アルジュナ」(十一・三三)。 


補註によると、カーラという言葉には死や運命という意味もあるそうです。時間や死、運命に対する人間の卑小さを思い知らされます。強大なカーラであるクリシュナにとっては、アルジュナが殺すことをためらうカウラヴァ軍の同族たちも、たやすく殺すことのできる相手なのです。時間や死、運命の前には私たちは無力であり、私たちは強大なカーラに屈服するほかはないのです。

 

まとめ


インドにおけるカースト制度には問題点もあるのですが、カースト制度によって定められた義務に集中することによって得られる心の平安があるというのは興味深いことです。『バガヴァッド・ギーター』には不思議なことが色々書いてありますが、目に見える結果のためでなく、個人や人類よりも大きな存在であるクリシュナのために現在なすべきことを全力で行うという考え方は、とても崇高だと私は思っています。

【社会学】『自由からの逃走』の要約

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『自由からの逃走』
エーリッヒ・フロム(日高六郎訳)
1951年初版発行
 

社会学者の日高六郎先生が、6月7日に老衰でお亡くなりになりました。

日高先生の代表的な業績といえば、エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』の翻訳でしょう。
当ブログでは日高先生に哀悼の意を表し、日高先生の業績を読者の皆様に知っていただくために、日高先生が訳された『自由からの逃走』の要約を掲示させていただきます。
日高先生のご冥福をお祈りします。
 
『自由からの逃走』の要約は以下の通りです。
 
フロムは「序文」で、近代人は前個人的社会の絆から自由になったと述べます。近代人は自由の重荷からのがれて新しい依存と従属を求めるか、あるいは人間の独自性と個性にもとづいた積極的な自由の完全な実現に進むかの二者択一に迫られるそうです。

第一章は「自由ー心理学的問題か?」です。ファシズムが国民を魅惑した方法を理解するためには、われわれは心理的要素の役割を認めざるをえないとフロムは考えます。

第二章は「個人の解放と自由の多義性」です。個性化の過程において、個人が完全に解放される以前に存在する一連の絆を「第一次的絆」とフロムは呼びます。子どもが成長し、第一次的絆が次第にたちきられるにつれて、自由を欲し独立を求める気持が生まれてきます。子どもは個性化が進むにつれて強くなっていく一方、孤独が増大していきます。孤独な子どもは、権威への服従か自発的行動かの二者択一を迫られます。

第三章は「宗教改革時代の自由」です。中世社会の人間はまだ第一次的絆によって世界と結ばれていましたが、ルネッサンスの時代になると貴族とブルジョアは自由と孤独を得ます。ルッター主義とカルヴィニズムは、都市の中産階級や貧困階級、また農民にいきわたっていた無力と不安の感情とともに、自由と独立の新しい感情をも表現していました。

第四章は「近代人における自由の二面性」です。近代社会の機構は、同時に二つの仕方で人間に影響をあたえています。その二つの仕方というのは、人間はよりいっそう独立的・自律的・批判的になったことと、よりいっそう孤立した・孤独な・恐怖にみちたものになったことです。資本主義社会がもたらした孤独と無力の感情は、気晴らしをする一般の普通人にはおおいかくされています。

第五章は「逃避のメカニズム」です。マゾヒズム的な人間は劣等感・無力感・個人の無意味さの感情にとりつかれており、外側の権力によりかかろうとします。サディズム的人間は孤独感と無力感から逃れるために、他者を支配しようとします。サド・マゾヒズム的性格のうち、ことに神経症的ではなくて正常な人間をさすばあい、フロムは「権威主義的性格」と呼びます。権威主義的性格の人間は権威をたたえ服従しようとする一方、みずから権威となって他のものを服従させたいと願います。サディズムマゾヒズムの根底には対象との共棲がみられますが、破壊性は対象を除去しようとします。破壊性もまた、たえがたい個人の無力感や孤独感にもとづいています。孤独や無力を克服するために個人が自分自身であることをやめることを、フロムは「機械的画一性」と呼びます。近代社会において自動機械となった人々は、安定をもたらしてくれるような権威に、たやすく従属しようとします。

第六章は「ナチズムの心理」です。労働者階級や自由主義的およびカトリック的なブルジョアジーの消極的なあきらめの態度と対照的に、ナチのイデオロギーは下層中産階級によって熱烈に歓迎されました。ヒットラーのパースナリティ、かれの教説およびナチの組織は権威主義的な性格構造の極端な形態を表現しており、ヒットラーと同じような性格構造を持った民衆に強く訴えました。ヒットラーは大衆をサディズム的方法で軽蔑し愛し、神・運命・必然・歴史・自然にマゾヒズム的に服従しました。

第七章は「自由とデモクラシー」です。われわれの社会では、感情や思考、意志的行為における独創性が欠如しているとフロムは考えます。自発的な活動は、人間が自我の統一を犠牲にすることなしに、孤独の恐怖を克服する一つの道です。人間が社会を支配し、経済機構を人間の幸福の目的に従属させるときにのみ、また人間が積極的に社会過程に参加するときにのみ、人間は現在かれを絶望ー孤独と無力感ーにかりたてているものを克服することができると、フロムは結論づけています。