かるあ学習帳

この学習帳は永遠に未完成です

2019-01-01から1年間の記事一覧

『沙耶の唄』病院ENDの考察

今回は、ニトロプラスのノベルゲーム『沙耶の唄』の「病院END」を考察します。『沙耶の唄』には3種類の結末がありますが、私は「病院END」が一番好きですね。補説として、小説版『沙耶の唄』の考察も添えます。 『沙耶の唄』 シナリオ:虚淵玄 原画:中央東…

『沙耶の唄』開花ENDの考察

今回は、ニトロプラスのノベルゲーム『沙耶の唄』の「開花END」を考察します。 『沙耶の唄』 シナリオ:虚淵玄 原画:中央東口 (C)ニトロプラス 2003年12月26日発売 (ここから先には、「開花END」のネタバレが含まれています)

『沙耶の唄』耕司ENDの考察

ニトロプラスのノベルゲーム『沙耶の唄』には、「開花END」「耕司END」「病院END」と呼ばれる3つの結末が用意されています。今回は、「耕司END」を考察します。 『沙耶の唄』 シナリオ:虚淵玄 原画:中央東口 (C)ニトロプラス 2003年12月26日発売 耕司の人…

『沙耶の唄』の考察~全体構造編~

今回から、虚淵玄さんがシナリオを担当した美少女ゲーム『沙耶の唄』を考察します。虚淵さんは、2010年代前半のアニメ史上で非常に素晴らしい仕事をした脚本家ですよね。『魔法少女まどか☆マギカ』『PSYCHO-PASS』など、アニメ界を席巻する名作を続々生み出…

大江健三郎『燃えあがる緑の木』解説~喜びを抱け、人間は破壊されない~

さらに私の耳にはいまも私たちみなが未来に向けて唱和した言葉が鳴っているのだ。 ーRejoice!(第三部p.412) 『燃えあがる緑の木』の作中では、“Rejoice!”という言葉が愛唱されます。新潮文庫版『燃えあがる緑の木』の表紙にも、“Rejoice!”とデカい字で書いて…

大江健三郎『燃えあがる緑の木』第三部のあらすじと解説

今回は、大江健三郎の代表作『燃えあがる緑の木』第三部のあらすじと解説を掲載します。壮大な『燃えあがる緑の木』の物語は、この第三部で完結します。第三部は物語の起伏が激しく、なおかつメッセージ性にも富んでおり、ラストに相応しい内容でした。 『燃…

『仮面ライダーゼロワン』批評~人間の責任を考える~

9月から、令和初の仮面ライダー『仮面ライダーゼロワン』の放送が始まりました。『ゼロワン』では、祖父の遺言を受け22歳の若さで社長になった主人公・飛電或人たちと、テロ組織「滅亡迅雷.net」の戦いが(主に)描かれます。或人は仮面ライダーゼロワンに変…

『裂空の訪問者 デオキシス』批評~奥行きのある世界~

今回は、ポケモン映画第7作『裂空の訪問者 デオキシス』(以下『裂空の訪問者』)を批評します。いきなり嫌な話になるのですが…この映画はネットでの評判があまり良くないです。某匿名掲示板のつまらなかったポケモン映画を挙げるスレとかで、この映画が酷評…

イェーツ「Vacillation」I節を読む~『燃えあがる緑の木』第二部を手がかりにして~

「Vacillation」(『対訳 イェイツ詩集』所収) イェーツ(高松雄一編) 岩波文庫 2009年初版発行 今回は、アイルランドの詩人・イェーツの詩「Vacillation(ヴァシレーション)」を解読します。「vacillation」という単語は、日本語では「動揺」「揺れ動く…

大江健三郎『燃えあがる緑の木』第二部のあらすじと解説

今回は大江健三郎の後期の大作『燃えあがる緑の木』第二部のあらすじと解説を掲載します。この小説は第二部から一気に論点が増えます。今回でその全てを語り尽くすことは不可能ですが、とりあえず語れるところまで語ってみましょう。 『燃えあがる緑の木 第…

大江健三郎『燃えあがる緑の木』第一部のあらすじと解説

今回は、日本人で2人目のノーベル文学賞作家・大江健三郎の代表作『燃えあがる緑の木』第一部のあらすじと解説を掲載します。先月、Eテレの「100分de名著」という番組で『燃えあがる緑の木』が取り上げられたので、この機会に番組の内容も考慮しつつ考察して…

『神速のゲノセクト ミュウツー覚醒』批評~共生思想VS排他思想~

『神速のゲノセクト ミュウツー覚醒』 監督:湯山邦彦 脚本:園田英樹 (C)2013 ピカチュウプロジェクト 2013年7月13日公開 おすすめ度:★★☆☆☆(興味深いテーマ性が確認できるものの、コレジャナイ感が強い作品) 『逆襲』とは別の『覚醒』 『神速のゲノセクト…

『劇場版仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』批評~水と油の向こう側~

今回は、『劇場版仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』(以下『トゥルー・エンディング』)を批評します。この映画は文字通り、TV版『仮面ライダーエグゼイド』最終話の後日談としての「真の結末」を描いた作品です。 『劇場版仮面ライダーエグ…

『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』考察feat.マルクス・ガブリエル、三島由紀夫

今回は、昨年末に上映された映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』(以下『平ジェネFOREVER』)を考察します。それと関連付けて、マルクス・ガブリエルの哲学や三島由紀夫の文学なども再考してみようと思います。 『仮面ライダー平成ジェネレー…

マルクス・ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』の要約

最近、ボン大学のマルクス・ガブリエル教授の哲学を勉強しています。今回は、ガブリエルの主著『なぜ世界は存在しないのか』の要約を掲載します。ついでに、『なぜ世界は存在しないのか』を読み解くのに役立ちそうな情報も書き添えておきます。 『なぜ世界は…

マルクス・ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』書評~新実在論は現実をどう変えるのか~

今回は、ボン大学のマルクス・ガブリエル教授によるベストセラー哲学書『なぜ世界は存在しないのか』を解説します。 『なぜ世界は存在しないのか』 マルクス・ガブリエル(清水一浩訳) 講談社選書メチエ 2018年初版発行 虚構と現実の区別を解体する 私が『…

『ミュウツーの逆襲』『ルギア爆誕』『結晶塔の帝王』考察まとめ~存在の拡大~

私は今年の6月から、ポケモン映画の考察を何度もこのブログに書いてきました。とりあえず『ミュウツーの逆襲』『ルギア爆誕』『結晶塔の帝王』の考察が終わったので、ポケモン映画の考察はここで一旦一区切りにしようと思います。 脚本家の首藤剛志さんは『…

『コップクラフト』第7話を観たぜ。~善人と悪人は住む世界が違う~

『コップクラフト』とかいうアニメの第7話が面白かったので、今回はその感想を書きます。 (C)賀東招二・小学館/STPD 『コップクラフト』の主人公は、マトバという刑事のオッサンと、ティラナという異世界からやってきた美少女です。はじめは生まれた世界や正…

エヴァ旧劇場版再考~複雑な共生~

エヴァンゲリオン旧劇場版のラストで、シンジは傷ついてもいいから他人と共に生きることを決断しました。静かな海辺には、シンジとアスカの2人だけが存在しています。 「Air/まごころを、君に」 監督:庵野秀明・鶴巻和哉 脚本:庵野秀明 (C)GAINAX/EVA制作…

エヴァ旧劇場版再考~「現実に帰れ」とは何だったのか?~

久し振りにエヴァンゲリオン旧劇場版「Air/まごころを、君に」を観たので、今回はエヴァ旧劇場版を考察します。エヴァ旧劇場版は、「現実に帰れ」という結論を提示しているとよく言われる作品です。 「Air/まごころを、君に」 監督:庵野秀明・鶴巻和哉 脚本…

『けいおん!』に救われた思い出。~苦しまなくても成功できる~

7月18日午前、非常に痛ましい事件が発生しました。「京都アニメーション放火事件」です。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りします。 私は先月、この放火事件に対する思いを、このブログに書こうと思いました。しかし、うまく書くことができませんでし…

『コップクラフト』第3話を観たぜ。~歩み寄る二人の正義~

『コップクラフト』とかいうアニメの第3話を観終わったので、今回はその感想を書きます。 amaikahlua.hatenablog.com 『コップクラフト』の主人公は、マトバという刑事のオッサンと、異世界からやってきたティラナという少女です。私が観た限り、マトバはと…

『コップクラフト』第1話を観た感想。~きれいな正義と汚れた正義~

ここ最近20年くらい前のポケモン映画のことばっかり書いているので、たまには今放送されているアニメについて書いてみます。 (C)賀東招二・小学館/STPD ってなわけで今回は、『コップクラフト』とかいうアニメについて書きます。異世界ファンタジーとハード…

『結晶塔の帝王』と『社会的ひきこもり』~ひきこもりのメタファー~

今回は、ポケモン映画第3作『結晶塔の帝王 ENTEI』(以下『結晶塔の帝王』)を考察します。脚本家の首藤さんのコラムによると、『結晶塔の帝王』には「ひきこもり状態の少女の解放」というテーマがあるそうなので、考えてみましょう。 『結晶塔の帝王 ENTEI…

「ポケモン映画幻の第3作」VS『のび太の恐竜』~恐竜の化石が世界にもたらすもの~

皆さんは、「ポケモン映画幻の第3作」を知っていますか? 映画館で公開された第3作目のポケモン映画は『結晶塔の帝王 ENTEI』ですが、実は『結晶塔の帝王 ENTEI』の企画が通る前に、ボツになったシナリオが1つあったのです。今回はそのボツになった「ポケモ…

『幻のポケモン ルギア爆誕』考察~自然・人間・神~

今回は先月に引き続き、ポケモン映画『幻のポケモン ルギア爆誕』(以下『ルギア爆誕』)を考察します。 『幻のポケモン ルギア爆誕』 監督:湯山邦彦 脚本:首藤剛志 (C)ピカチュウプロジェクト99 1999年7月17日公開 「深層海流」と「音楽」 『ルギア爆誕』…

【ブログ奮闘記】1月~6月のブログ人生を振り返る。

皆さん、こんばんは! 時の流れは早いもので、2019年も残すところあと半分くらいですね。ちょうどいい頃合いなので、今回はこのブログの約半年間を振り返ってみようと思います。 絶望の「読者ゼロ人時代」 amaikahlua.hatenablog.com 今年の1月、このブログ…

ドストエフスキー『罪と罰』を読み解く~「7」からはじまる物語~

今回は、ロシアの文豪ドストエフスキーの代表作『罪と罰』を読み解きます。はじめにお礼申し上げますが、この記事はfufufufujitani様からの激励と承諾によって完成しました。fufufufujitani様、本当にありがとうございました。 『罪と罰(1~3)』 ドストエフス…

『幻のポケモン ルギア爆誕』考察~「自己存在」から「共存在」へ~

今回は、ポケモン映画『幻のポケモン ルギア爆誕』(以下『ルギア爆誕』)を考察します。『ルギア爆誕』は、『ミュウツーの逆襲』に次ぐ2作目のポケモン映画です。 『幻のポケモン ルギア爆誕』 監督:湯山邦彦 脚本:首藤剛志 (C)ピカチュウプロジェクト99 …

ミュウツーとエヴァンゲリオン~世界の中心でアイを叫んだポケモン~

今回は、アニメ版ポケモンのテレビスペシャル『ミュウツー!我ハココニ在リ』を考察します。『ミュウツー!我ハココニ在リ』は、映画『ミュウツーの逆襲』の続編です。ついでに、『ミュウツー!我ハココニ在リ』とTV版『新世紀エヴァンゲリオン』の最終話を…