かるあ学習帳

この学習帳は永遠に未完成です

僕の街に雪が降った後で、僕の脳に詩が降ってくる。

先月、僕の住む街に大雪が降った。

 
しかし僕は、大雪が大好きだ。
 
なぜなら僕の街に大雪が降った後になると、僕の脳に大量の・大量の・大量の詩が降ってくるからだ。
 
普段全く詩を書かない・普段全く一人称を「僕」にしない僕の脳に、脳髄に、ニューロンに、大量の・大量の・大量の・大量の・大量の詩片が降雪してゆく!
 
僕は精霊たちのGood Newsに導かれるかのように一眼レフを装備し、写真を撮っては詩片を採取してゆく!
 

…僕は、雪に映る僕の影を撮影するのが好きだ。
降り積もった雪の上に、道行く人々の足跡が刻まれている。
まるで僕の影が、道行く人々の足によって繰り返し踏みつけられ踏みにじられているかのようだ!
僕はマゾヒスティックな快感のあまり、僕自身の影を撮った。
 
そうか、そうか、そうだったのか!
「撮影する」とは即ち、文字通り「影を撮る」ということだったんだ!
 

…雪がメルトダウンし始めた街中の道で、棄てられた『ミルキー』の箱が姿を現した。
この『ミルキー』を食った奴、おそらくこの箱の中のキャンディーを全部舐め尽くしたな、!
しかし次はこの『ミルキー』の箱に描かれたペコちゃんが雪を全部舐め尽くしていくだろう。
諸君、聞きたまえ、雪は「蒸発した」んじゃない。
雪は、ペコちゃんに「舐め尽くされた」んだ。
僕は、そう思わずにはいられなかった!
 

…「あいさつで みんなたのしく いきかえり」、なるほど。
なるほど、確かにあいさつをすると、みんな楽しく「行き帰り」できるだろう。
なるほど、確かにあいさつをすると、みんな楽しく「生き返り」できるだろう。
この標語は、もはや標語の域に留まらない。
「いきかえり」という言葉に二重の意味が含まれた、詩片の一種なのだ。
 

…この区域では減速が促されている。
この界隈では事故が多発し、アルコールを帯びた酔っ払いがガソリンを注入された自動車で、場所柄を弁えずに加速していく。
でも、色褪せたクレヨンしんちゃんはやはり天才だった。
クレヨンしんちゃんは天才だから、この区域では加速せずに「止まる」べきだということを弁えていたんだ。
だからこの色褪せたクレヨンしんちゃんは、加速することなしに最初からゴールに到達していた。
したがってやはり、クレヨンしんちゃんは天才少年だと言わざるを得ないだろう。
 

…「あぶないからはいってはいけません」。
子供は知らないことが多くて元気だから、あぶないところに入ろうとする。
今の僕は、快晴の下で大量の詩片を浴びて、子供の心を取り戻そうとしていた。
だから僕は、あぶないところに入らないよう用心しなければならない。
あぶないところだった、あぶないところだった、あぶないところだった!
 
僕は、あぶないところに入ろうとすると引き返せる程度には、正気であり大人だったのである。