今回は、3月29日に発売予定の18禁美少女ゲーム(
『青い空のカミュ』体験版
シナリオ・原画:〆鯖コハダ
(C)KAI
2019年2月21日公開
『青い空のカミュ』体験版のメニュー画面には、“I opened myself to the gentle indifference of the world”と書いてあります。この英文は、アルベール・ カミュの小説『異邦人』の結末の文章を英訳したものです。 この英文を日本語に訳すと、「 私は世界の優しい無関心に心を開いた」。死刑囚になった『 異邦人』の主人公ムルソーが、 刑務所の外にある平和な自然を感じとり、 心を開く場面からの引用ですね。*1
この英文とメニュー画面に描かれているのどかな自然の背景から、 「 このゲームは平和で優しい自然に心を癒される感じのお話なのかな ?」と想像したくなるじゃないですか?実際のところどうなのか、 体験版をプレイして確かめてみましょう(・∀・)
『青い空のカミュ』の主人公は、燐ちゃんと蛍ちゃん。 燐は活発な女の子で、蛍は大人しめのお嬢様。カミュの『異邦人』 の物語は夏の夕暮れの情景で終わるんですけど、『 青い空のカミュ』 体験版のシナリオは夏の夕暮れの情景から始まっているんですよね 。なにか関係があるのかな?そこんところ要チェックってことで。
電車に乗って「小平口」という駅に降りた燐と蛍は、 様々な怪奇現象に遭遇します。例えば、 電車にへばりついている蛾の羽に悪意に満ちた人間の目玉のような 模様が付いていたり。顔がないゾンビのような「なにか」 に襲われたり。はっきり言ってこのゲーム、 かなり不気味で怖いですw
今回の体験版には、 燐と蛍が世界の優しい無関心に心を開く場面はありませんでした( 苦笑)。それどころか、 世界は燐と蛍に対して悪意を向けていると思いました。 蛾の羽の模様や「なにか」は燐と蛍を脅かす存在ですし、 たくさんの木々が燐と蛍の逃げ道を邪魔する場面もありました。 燐と蛍がたまにワープする「青いドアの家」の世界も、 現時点の彼女たちには謎だらけですしね。
あえて言うなら、燐と蛍が全裸で月夜のプールに入る場面は、 優しい感じがしました。しかしおそらく、この場面はカミュの『 異邦人』ではなく『ペスト』を意識した場面でしょう。『ペスト』 には、 リウーとタルーという二人の男が月夜に海水浴をする場面がありま す。*2『青い空のカミュ』体験版でも『ペスト』でも、固い絆で結ばれた同性同士が月夜に裸になり、 水上で友情を確かめています。 作中の同性同士にとって友情の証しであるスイミングには、 愛し合う者同士が愛を確かめるために行う性行為をどこか連想させ るものがあるなと私は思います。
『青い空のカミュ』の物語がこれからどのような形で『異邦人』 の結末とリンクするのか、それともリンクしないのか(笑)… 期待しております。次回は『青い空のカミュ』体験版と『ペスト』 の関係についてもっと考察していきます。では~ノシ
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