かるあ学習帳

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『けいおん!』に救われた思い出。~苦しまなくても成功できる~

7月18日午前、非常に痛ましい事件が発生しました。京都アニメーション放火事件」です。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りします。

 
私は先月、この放火事件に対する思いを、このブログに書こうと思いました。しかし、うまく書くことができませんでした。私はこの放火事件に関して、悲しみ・怒り・苦しみ・不安などのマイナスの感情を大量に抱え込んでいます。そのため、読者様が不快になるくらい陰鬱な言葉しか頭に浮かばなかったし、自分の思いを文章に書き起こしてもうまくまとまりませんでした。今の私は、この放火事件についてうまく語ることができません。
 
今、火災が発生した現場には祈りを捧げている方々がたくさんいらっしゃるし、その中には「京アニの作品に救われた」と話す方もいらっしゃるそうです。かくいう私も、『けいおん!という作品に救われた人間です。今回はこの場を借りて、僭越ながら『けいおん!』と京アニへの感謝の思いを書いてみようと思います。ネガティブなことを書いたらうまく表現できなかったので、ポジティブなことを書いて京アニへの思いをなんとか形にしてみようと思います。
 
京アニ作品にまだ触れたことのない方は、(傲慢な言い方かもしれませんが)素晴らしい作品の数々をこの機会にぜひ観てみてください。そして、失われた才能に思いを馳せてください。皆さん、京アニを支援しましょう。
 

平凡な日常と非凡な作風

 
まだ観たことがない方のために、けいおん!がどんな作品なのかを一応説明します。『けいおん!』は、桜が丘高校軽音部のほのぼのとした日常を描くアニメです。唯たちの日常は観ていてとても癒されますし、笑えます。けいおん!の日常に荒んだ心を救われた方は多いのではないでしょうか。
 
Wikipediaに『けいおん!の作風に関する重要な指摘が載っていたので、引用します。
 
本作品を評価するうえでその特徴としてしばしば挙げられるのは、女子高校生の軽音部の活動を題材としていながら、バンドものでありがちな「メジャーデビューを目指す過程での挫折と成長」「音楽性の違いによるメンバー間の対立」「本格的な恋愛関係」といったドラマチックな要素(あるいはそれを誘発しかねない男性キャラクター)が排除されていることである。
 
けいおん!』では、登場人物が挫折したり、派手に喧嘩したり本格的に恋愛したりする場面が排除されています。挫折と成長」「対立」「恋愛」はドラマを盛り上げる要素ではありますが、Wikipediaに書いてある通り「バンドものでありがちな要素」でもあります。こうした要素が『けいおん!にもあったらシナリオに起伏が生まれるかもしれませんが、『けいおん!』はどこかで見たことがあるような「ありがちなアニメ」になったと思います。
 
けいおん!』は平凡な日常を描くアニメですが、従来のバンドものでありがちな要素が排除されているので、その平凡さがかえって非凡な個性になっている作品だと思います。
 

「苦しまなくても成功できる」という救済

 
私が『けいおん!』を観て衝撃的だったのは、唯たち軽音部のメンバーが大して苦しまずに本番で成功したこと」でした。
 
けいおん!』では軽音部のメンバーが学園祭などの本番に向けて練習する場面がたまにありますが、それ以上に練習せずに休憩している場面がすごく多かったです(…笑)。音楽活動中によくある苦痛や絶望がほとんど描かれていなくて、そういう苦労がなくても軽音部が本番で成功したということが、私には大きな救いになったのです。(軽音部が成功したのは、唯たちが音楽の才能に恵まれていたからだという理由があるんでしょうけど…)どうやらちょっと前までの私は、「何ごとも成功するためには辛い苦労が必要だ」と思っていたらしい。
 
いきなり個人的な話になりますが、私は今年の2月ぐらいまで、このブログを苦しみながら書いていました。前から思っていたのですが、はてなブログを書いていらっしゃる方って、文章のレベルが高い方が異常に多くないですか?少なくとも私がよく読むブロガーの方々は文章の偏差値が高い方が多かったので、ちょっと前までは「私も他人のように高度な文章を書かなければならない」というプレッシャーに押し潰されそうになりながらブログを書いていました。
 
しかし、ブログを続けて視野が広がっていくうちに、はてなブログの世界には(少し無礼な言い方かもしれませんが)「ゆるい文章」を書いて成功している方々もたくさんいらっしゃることがわかってきました。「そうか…はてなブログってもっと気楽に書いていいものだったんだ!私も唯たちのようにふんわかしながら頑張ろう!」…といった具合にいい意味で脱力できるようになってから、ブログを書くのがだいぶ楽しくなってきたんですよね。ゆるいブログを読んで気が楽になって、そこからさらに『けいおん!』に後押しされて今があるという感じです。
 
けいおん!』は「苦しまなくても成功できる」生き方を描いたアニメだったし、そのため「辛い苦労をしないと成功できない」という息苦しい価値観を崩壊させたアニメでもあったと思います。まあ、あずにゃんはそれなりに悩んでいましたが、あずにゃんもかつての私のように「成功するためには本気の努力が必要だ」という旧弊な思想に縛られた犠牲者だったと思いますね
 
「辛い苦労をしないと成功できない」厳しい世界は、苦しみに耐えられない人々にとっては、絶望しかないです。
 
「苦しまなくても成功できる」優しい世界は、苦しみに耐えられない人々を救います。
 
やっと、京アニへの思いを少し形にすることができた気がします。
 
けいおん!』は、私の心を救いました。