『論理哲学論考』の論考~なぜ今、『論理哲学論考』なのか?~
明けましておめでとうございます。
新年が始まったことを機に、これからこのブログで『 論理哲学論考』の読書記録を綴ろうと思います。 テキストは岩波文庫の野矢茂樹訳『論理哲学論考』を、 副読本は角川選書の古田徹也著『ウィトゲンシュタイン 論理哲学論考』を使用します。
なぜ今、『論理哲学論考』なのか?
『論理哲学論考』(以下『論考』)は、 哲学者ウィトゲンシュタインの前期思想を代表する哲学書です。「 人生に意味はあるのか?」「神は存在するのか?」「 魂は不滅なのか?」といった問題に答えを出そうと思っても、 私たちは意味のある答えを出すことができない。だから( 他の理由もありますが)「語り得ぬものについては、 沈黙しなければならない」と説いた、伝説的な名著です。
去年の4月に、角川選書から古田徹也著『ウィトゲンシュタイン 論理哲学論考』という『論考』の解説書が発行されました。 この本は『論考』の内容を本当にわかりやすく説明しており、 平成の終わりに誕生した革命的な入門書だと思います。 この本では論理学や数学などの知識が必要な箇所が省略されているので、 理系学問が苦手な私のような読み手にも易しい内容になっています 。
『論考』 は20世紀の哲学を代表する哲学書だとよく言われますが、 一般の読者でもわかりやすい日本語で読める『論考』 入門書は今まで少なかったと(私は)感じます。野矢茂樹著『 ウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」を読む』 という本がちくま学芸文庫から出ていますが、この本は大学時代、 私の知人の間でわかりにくいと評判だった。 野矢先生の本に比べて、 古田先生の本は実に読みやすいと思いました。
私は去年古田先生の入門書を読んで『論考』への理解を深め、 古田先生の入門書をもっと広めたいと思いました。 密かに進めていた準備が整い、『論考』 の論考を書くなら今でしょ!と思ったので、今日から『論考』 の考察を始めることにしました。
美少女ゲームとウィトゲンシュタイン
『素晴らしき日々~不連続存在~』
『論考』の思想と深い関係を持つ大作。 非常に考察のし甲斐がある作品で、 この作品を膨大な文章量で考察しているブログさんが検索したらけ っこう見つかります。シナリオライターのすかぢさんは、『論考』 とウィトゲンシュタインの普及に貢献した功労者だと思う。
『猫撫ディストーション』
哲学や量子力学が援用された、難解な作品。 作中でウィトゲンシュタインの名前が出てくるし、 この作品はウィトゲンシュタインに近いことを言っているという説 を某ブログで読みました。『論考』 の論考を進めているうちにこの作品も理解しやすくなると信じたい 。
『夢幻廻廊(1,2)』
女装した主人公が、お屋敷に住む女性たちに「調教」 されるという変態的な内容の作品。 本当に吐き気がするほど変態的な描写があるのに加えて、 シナリオの偏差値が非常に高いので「読む人を選びまくる」 ゲームである。
『フロレアール~すきすきだいすき~』
1999年に発売された作品なのだが、 後期ウィトゲンシュタインや脱構築の思想の影響が見られるシナリ オが注目に値する。この作品も文章が難解ですが、 文章の意味を理解すると人生観が変わると思います。 少なくとも私の人生観を大きく変えたゲーム。
今年はウィトゲンシュタインについてこのブログに書くことが多そ うです。勿論哲学の勉強がしたいからという理由もありますが、 ゲームの批評に役立ちそうだからという理由が大ですね。 こうしてみると、凄く個人的な理由で「今、『論考』!」 だと私は思っているんだな(笑)
では、今年も宜しくお願いします。