かるあ学習帳

この学習帳は永遠に未完成です

死んだおばーちゃんと人形の完成された美しさを語る男。

死体と人形には完成された美しさがあるよねっていう話

今年の4月、私のおばーちゃんが死にました。

 

お葬式の日、「おばーちゃんとのお別れ」という名目で、お棺に入ったおばーちゃんの死体を親戚一同で見ました。
私は正直、おばーちゃんの死体を直視するのが怖かったです。
なぜなら私のおばーちゃんはガンで身体中を悪くして亡くなったので、おばーちゃんの死体が悲惨なことになってるんじゃないかと恐怖を抱いたからです。
 
ところが、どうでしょう。
 
おばーちゃんの死体は、とても美しかったのです。
 

しかもおばーちゃんはとても安らかな表情で死んでいて、この安らかな死に顔は、常に苦悶の表情を浮かべながら生きている私には理論上絶対に真似できない表情でした。
親戚一同は、おばーちゃんの死体のあまりの美しさに、驚嘆の声を上げました。
 
「なんなのこの死に顔、美しすぎる」
「このおばーちゃん、死んでから20歳くらい若返ったみたいに綺麗になったね」
「いい死に方したなあ」
「この死体、人形みたいだ
 
そしておばーちゃんの死体が入ったお棺は、火葬場で焼かれました。
その時私は、声を上げて呻きました。
おばーちゃんが死んだのが悲しかったから、という月並みな理由もありますが、それに加えておばーちゃんの死体の完成された美しさが焼失したことが悲しかったのです。
 
文脈によりますが、死体や人形は完成された美しさを表現できます。
死体は生者のような意識を恐らく持たず、製品のように静止しているから間違いを犯さない。
かたや生者には死体と違って意識や雑念があり、条理から外れた間違いを犯すことがある。
そういう意味で死体は完成されている一方、生者は不完全な存在です。
さらに生者は人生の途中を生きているので、死者と違って人生が完成されていない……っていう理由もあるかな。
もっとも人間は未練を残して死ぬことが多く、「終わることは必ずしもおのれを完成することを意味しはしない」とハイデガーも言ってるけどな。

(C)2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD
先述の理屈は人形にも大体当てはまる話で、意識が無く製品として完成された人形も、人間よりも完全な存在だと言えると思います。
ましてや私のおばーちゃんの死体や無為美ちゃん(私の人形)の場合、見た目も整って美しいですから、生者には決して到達できない美の境地」を垣間見せてくれます。
 
また、死体や無為美ちゃんのような球体関節人形の場合、性欲劣情の対象になりにくいところも崇高ですね。
ピチピチした活きのある肉体を持った若い男女は性欲の対象になりやすいのですが、活力の無い静物のような死体や球体関節人形は性欲の対象になりにくいんですよね。
その点で美少女フィギュア存在論的に面白くて、静的な人形の一種でありながら性欲の対象にもなるところが興味深い。
 

(C)insight

今年の2月に『肉感少女ガブリエラ』っていう美少女フィギュアが発売されましたが、商品化されたこのフィギュアの肌が「白すぎる」と批判されたことは私の記憶に新しい。
『肉感少女』シリーズは題名の通り生者のような肉感がウリのフィギュアですから、フィギュアの肌に文字通りの「色気」が無いとオタクから苦情が来るんですよね。

(C)LITTLE MONICA

一方球体関節人形界隈の住人の中には「ホワイトスキン」と言いまして、真っ白な肌の人形を自分から進んでオーダーする層が一定数存在する。
球体関節人形界隈では、人形の肌が真っ白だと「色白で美しい」と肯定的に愛玩されやすいんですのよ。
美少女フィギュアには生者のような色気の需要があって、球体関節人形には死体のような美しさの需要があるのかなという仮説が今思い付いた。
多くの美少女フィギュアにも完成された美しさが勿論備わっているのですが、彼女たちには存在論的な観点からすると生と死の曖昧な境界を漂う要素があると俺は思ってるから。
ラブドールの事は、私は全然詳しくないからよくわかんないw
 
ともかく死体や人形の完成された美しさに私は惹かれますが、この社会は不完全な生者が支配している。
今日も死者たちは人目に付かない所で火葬され、人形たちはこっそり誰かに愛されているのだろう。
 
ーーーでは、始めようではないか……人形の宴(シュンポシオン)を!!
 

無為美ちゃんに新しいウィッグを被せてみよう

私は今年の序盤に、球体関節人形命名:無為美ちゃん)を身請けしました。
無為美ちゃんの衣装は今のままで問題無いと思いますが、最初に買ったウィッグに変なクセが付くようになってきた。
無為美ちゃんにピッタリ似合う髪型がなかなか見付からなくて、色々なウィッグを試す羽目になりますた。
今回は人形のウィッグ選びが大変だという状況を、現場から皆さんにお伝えします。
 

(C)BJD CROBI

私はBJD CROBI社製の「CRWL-93 (Light Black)」というウィッグをお取り寄せしました。
上のサンプル画像を見た感じだとこの髪型は複雑なウェーブがかかっていなくて手入れしやすそうですし、落ち着いた黒髪が無為美ちゃんに似合ってそうな感じがしますよね。
 
で、このウィッグを無為美ちゃんに被せた結果がこちら……。

うーん、前髪の分け目がちょっと不自然だよね。
購入したウィッグがサンプル画像とだいぶ違うと言うのは人形界隈ではよくある現象でして、このウィッグも案の定ハズレでしたね。。。
もしかしたら私のセットの仕方に問題があるのかもしれませんが、少なくとも私が努力した限りでは、サンプル画像と同じ様な髪型にはならなかった。
球体関節人形メーカーは細分化がけっこう進んでおりまして、人形の素体ばっかり作ってるメーカー、人形のウィッグだけ作ってるメーカー、他社製品と互換性がある商品を作ってるメーカー……などが世界各地に分立してる状況です。
ですので人形用品には実際に買って試してみないとよくわからない」要素が数多くあり、購入した製品に不満があっても一概に「ぼったくり」だとは言えないんですよね……。
球体関節人形という趣味の世界は、かなりの魔境ですよ(苦笑)。
 

(C)LUTS

私が次に試したのは韓国の老舗人形メーカー・LUTS社製のウィッグ「DW 139 Dark Violet」
このウィッグはサンプル画像を見た感じだと、小顔の無為美ちゃんによく似合いそうな感じがしました。
 

しかし、このウィッグも正直微妙だったな……。
実物のウィッグはサンプル画像と比べて毛量が多すぎて、髪が左右にぼわっと広がっちゃうのよ。
あと、その割に前髪の毛量が少ない……毛が生えてなくてウィッグの生地が見えてる部分もあるね。
人形に帽子を被せたら一応誤魔化せるけど、このウィッグを使うのも気が進まないなあ。
 

(C)LUTS

ついでにLUTS社からもう一つ短髪のウィッグ「DW 231 Soft Black」もお取り寄せしたのですが、こっちはかなりいいね。
デレステ楓さんにちょっと似た髪型だね。

サンプル画像では前髪がかなり長く見えるけど、実物は前髪がそれほど長くなくて、前髪が無為美ちゃんの眉毛に掛からないところがgood。
前髪が擦れて眉毛の塗装が剥げるのが心配だったけど、これはいい感じだ。
この短髪は無為美ちゃんに似合ってると思うので、当面の間はこの髪型で行こうと思います。
このように、実際に取り寄せたウィッグがサンプル画像よりもよろしい場合も、たまにはあるのよ。
 
韓国にあるLUTS社公式サイトからウィッグを注文して、コンビニ振り込みを使えばけっこう楽に購入できるもんなんだな。
でも、ウィッグが入ってる小包を運送業者の人から受け取った時、韓国語がいっぱい書いてある小包を業者の人が怪しんでいたのが印象的だった。
おおかた、北○鮮から送られた闇の聖遺物でも入ってるのかなと疑われていたんだろう。
でも運送業者さん、安心して下さいよ……中身はただの人形の頭髪なので、全く怪しくありませんから。
 
人形には生半可な生者に決して辿り着けない完成された美しさがあり、尚且つ無為美ちゃんはより美しい外見にカスタマイズされる途上にあります。
個人的に無為美ちゃんの目が黒目がちなのが以前から気になっているので、いずれ彼女の眼球を交換してみたいところです。
完成された人形を、さらなる完成に導こうではないか……!